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令和8年3月議会(一般質問)

2026年3月10日火曜日活動記録

▼3月9日(月)、大垣市議会にて一般質問に登壇させていただきました。毎回、長文で恐縮ですが、全文を掲載させていただきます。 

【今回の一般質問】
・ドクターカーについて
・排水路清掃の持続可能性と新たな担い手確保について
・15歳からの社会保障教育について
・「ふるさと住民登録制度」について


【大垣ケーブルテレビ放送日】
 3月16日(月) 9 :00~
 3月18日(水) 16 :00~ (再放送)

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[一般質問 一回目登壇]

 ▼自民党緑風会の種田昌克でございます。先般行われた衆議院議員総選挙では、社会保障制度のあり方が争点の一つとなりました。年金、医療、子育て支援、そして負担と給付のバランスなど、さまざまな論点が議論されましたが、その根底にあったのは、「この国で、この地域で、将来にわたって安定して暮らしていけるのか」という問いであったと思います。とりわけ若い世代の関心が高かったのが、いわゆる国民負担率の問題であります。現在、日本では、税と社会保険料を合わせた国民負担率は46.2%とされています。若い世代の中には、「自分たちが大人になる頃、この負担はどうなるのか」と不安を抱いている人も少なくないと言われています。こうした状況を踏まえますと、社会保障制度については、制度の内容を説明するだけでなく、その仕組みや財源、さらには将来の持続可能性まで含めて理解し、考える機会をつくることが重要であると感じております。
 いま、10代から20代を中心とする、いわゆるZ世代は、多様性を尊重する柔軟な価値観を持つ世代だと言われています。しかし最近の国政選挙を見ると、必ずしも「リベラル対保守」という単純な構図では説明できない投票行動が見られました。私はそこに、若者たちが置かれている現実があるのではないかと感じています。日本経済の長期停滞の中で育ち、「努力を続けなければ取り残されるのではないか」という空気の中で生きてきた世代であります。若者にとっての最大の関心は理念ではなく、現実であります。「手取りを増やす」とか「働いて、働いて、働いて」といったメッセージが響いた背景には、競争社会の中で必死に生き抜こうとする若者の切実な思いがあるのだと考えます。だからこそ、私たち大人、そして地方自治に携わる者こそ、その現実に正面から向き合う責任があるのではないでしょうか。
 政治や行政、そして社会保障は、日常で頻繁に語られるテーマではありません。しかし、将来に不安を抱える若い世代にとっては、本来もっとも身近であるべきものです。自治体の施策は、いまを生きる市民のためだけではありません。これからを生きる世代が安心して暮らせる社会の土台を築くものでなければならないと考えております。
▼本日は、そうした問題意識に立ち、4件についてお尋ねいたします。目先の制度論にとどまらず、10年先、20年先を見据え、将来世代にどのように責任を果たしていくのか。その観点から市の見解を伺います。それでは通告に従い質問いたします。
 
1件目。ドクターカーについて。
 本年2月10日より、大垣市民病院において、西濃圏域で初となる乗用車タイプのドクターカーの試験運行が開始されました。医師や看護師が専用車両で現場へ急行し、救急隊と合流して、病院到着前から医療介入を行う体制が整ったことは、市民の生命を守るうえで大きな前進であり、関係者の皆様のご尽力に敬意を表するものであります。
 一方で、今回の運行はあくまで「試験運行」であります。今後問われるのは、導入したという事実だけではなく、「実際にどのような流れで出動するのか」「どのような症例で活用されているのか」「どのような成果が得られているのか」そして将来的に、この取り組みをどのように成熟させていくのか、という点であると考えております。
 ドクターカーは、現場で早期に医療介入ができることから、心肺停止や重症外傷など、時間との闘いとなる症例において極めて重要な役割を果たす可能性があります。市民の安心につながる取り組みであるからこそ、その仕組みや成果をしっかりと把握し、今後の発展につなげていくことが重要であると考えます。
 そこで、以下3点についてお伺いいたします。
1点目。ドクターカーは、消防からの要請に基づき出動する仕組みと伺っておりますが、
通報から出動、現場での救急隊との合流、そして病院搬送に至るまで、どのような流れで運行されているのか、そして、ドクターカー出動時は市民病院への搬送一択なのかお聞かせください。
2点目。試験運用が開始されてから約1か月となりますが、現在までの出動件数や対象となった主な症例など、これまでの稼働実績についてお伺いします。
3点目。現在の試験運行は、出動時間など一定の条件のもとで行われていると承知しております。
今後の検証結果を踏まえ、例えば運行時間の拡大や体制の強化など、将来的な拡充の可能性をどのように考えておられるのか、お考えをお聞かせください。
 
2件目。排水路清掃の持続可能性と新たな担い手確保について。
 水路清掃や草刈りは、全国的な課題になっています。現在、本市では排水路清掃や堤防の草刈りについて、自治会の皆さまのご協力により実施され、市から一定の補助制度というか手数料が支払われる制度が設けられています。地域を長年支えてくださっている皆さまに、まず心から敬意を表します。しかし、この仕組みが将来にわたって持続可能かどうかについて、強い危機感を抱いています。
 私の所属する自治会では、年に1回、班ごとに水路清掃を行っています。現場に立ちますと、作業の中心は50代以上であり、70代、80代の方々も参加してくださっています。一方で、若い世代の参加は決して多いとは言えない状況です。本市の自治会加入率は現在71%と伺っています。少子高齢化や共働き世帯の増加という社会構造を踏まえれば、今後加入率が大きく上昇する要素は乏しく、現実的には維持、あるいは緩やかな低下が想定されます。問題は「今できているか」ではありません。確かに、現在は多くの地域で排水路清掃や草刈りが実施され、機能しています。しかし行政が問うべきは、現状の説明ではなく、将来の持続可能性であります。5年後、10年後も、同じ人数が集まり、同じ体力水準で、安全を確保しながら作業を継続できるのでしょうか。担い手が自然減していく中で、その空白を誰がどのように補うと想定しているのでしょうか。
 そこで、感覚的な議論ではなく、客観的な実態把握をすることが重要となってきます。排水路清掃や草刈りに参加している方々の推移について、定量的な把握は行われているのでしょうか。過去数年の参加者数の変化などをデータとして把握していなければ、将来予測もまた困難であります。政策は経験だけでなく、データに基づいて検討されるべきであります。申し上げたいのは、現在の努力の否定ではありません。むしろ、これまで善意によって支えられてきた仕組みを将来にわたり守るために、今から客観的に実態を可視化し、備える視点が必要ではないかということです。
 そこでお尋ねいたします。
1点目。自治会による排水路清掃の担い手について、現状分析はどうなっていますか。
2点目。将来的な担い手不足を想定した対応策は検討されていますか。
3点目。自治会にたよらない維持管理方法について検討する考えはありますか。
 
3件目。「15歳からの社会保障教育について」。
 前にもお話しましたが、以前、中学2年生の女子生徒から、私は次のように問われました。「私たちが大人になるころ、介護保険や国民健康保険、年金制度はどうなっているのかな。」と。中学生が、自分たちの将来の社会保障制度の持続可能性を心配している。私は大変考えさせられました。いまの若い世代は、将来に対して非常に現実的です。だからこそ、私たち大人がこの問いに正面から向き合う責任があると感じます。
 そこで、現在の中学3年生が使用している公民の教科書を、私も購入して読んでみました。第4章には「社会保障の仕組みと課題」という項目があり、わが国の社会保障制度が、どのような仕組みで成り立っているのかを学ぶ内容となっています。
(教科書を見せる)
チェック項目には、「私たちが日常生活の中で利用している社会保障制度を挙げてみましょう」とあり、さらに、「これからの社会保障制度はどうあるべきか。持続可能性の観点から考えてみましょう」と記されています。また、他の会社の教科書も購入して比べてみました。こちらには、社会保障に8ページも割かれています。グループワークのページでは、「社会保障のあり方について考えてみよう。とあり、例題として、Z国では持続可能な社会保障制度の仕組みづくりが進められています。選挙を前に、2つの政党の意見が対立しています。あなたが国民なら、どちらの政党に投票するか考えてみましょう」という課題が示されています。そして、それぞれの政党の政策を比較し、利点や問題点を話し合ったうえで、「政策をより良いものにするためには、どのような改善が考えられるか」という問いへと続いていきます。
 私は、これを読んで、なるほどと思いました。これは中学生向けの教科書ではありますが、同時に、私たち大人が地方自治や社会の仕組みを考えるうえでも、非常によく整理されたテキストであると感じました。
社会保障は年間約138兆円規模の制度であり、税や保険料によって支えられ、世代間の連帯によって成り立っています。一方で、若者の間には「年金はもらえないのではないか」「社会保障は高齢者中心ではないか」といった不安や不信も存在しています。だからこそ、15歳という段階で、社会保障をどのように位置付け、どのように教えるのかは極めて重要であると考えます。
 そこで、お尋ねいたします。
現在、中学校では社会保障制度についてどのように学んでいるのでしょうか。
公民科や総合的な学習の時間における具体的な取り組みについて教えてください。
 
4件目。「ふるさと住民登録制度」について。
 現在、国は人口減少と少子高齢化が進行する中で、地域と継続的に関わる人々をいかに増やしていくかという課題に対し、新たな制度設計を進めています。その一つが、住所地以外の地域に関わる人を登録する「ふるさと住民登録制度」であります。
 本制度は、いわゆる「関係人口」を制度的に把握し、地域の担い手確保や経済活動の活性化につなげることを目的とするものとされています。国が共通のデジタル基盤を整備し、自治体が登録証を発行する仕組みが想定されており、地域との関わりを可視化しようとする試みであります。本市においても、ふるさと納税の寄附者、観光リピーター、二地域居住者、外部人材など、さまざまな形で大垣と関わる方々が存在していると考えられます。だからこそ、本制度への向き合い方は、本市の将来戦略そのものに関わる重要なテーマであると認識しております。
 そこで、市としての基本的な考え方をお尋ねいたします。
1点目。関係人口を段階的に育て、地域の担い手確保や二地域居住につなげていくこの制度について、どのように位置付けていますか。
2点目。全国調査では、個人単位で関係人口を「把握していない」と回答した自治体が86%にのぼるとされています。本市は、関係人口を個人単位で把握していますか。
3点目。本制度を単なる“ファンクラブ的登録”にとどめるのか、それとも二地域居住や外部人材の受け入れなどを戦略的に位置付けていくのか。見解をお尋ねします。
▼人口減少社会において、地域との関わりを広げていくことは極めて重要であります。しかしながら、制度を導入すること自体が目的化してはならず、それが真に大垣の将来につながるのかどうかを冷静に見極める必要があります。
本市は、どのような人々にこの地域と関わってほしいのか。そして、その関係をどのような形で育てていこうとしているのか。そのビジョンを明確にすることこそが重要であると考えます。国の動向を踏まえつつも、本市として主体的かつ戦略的な判断を求め、1回目の質問とします。
 
【答弁】
[市長] 「ふるさと住民登録制度」について
 ・位置づけについては、すでに取り組んでいる「ファンクラブ」と連携させていく。
・ファンクラブや継続してふるさと納税していただいている人を「関係人口」として把握している。
・「選ばれるまち大垣」の実現に向け、積極的に取り組んでいく。

[市民病院事務局長] ドクターカーについて
・ドクターカーは、市民病院へ搬送するとは限らず医師が総合的に判断して医療機関を決める。
・これまで28件の出動があった(うち17件がドクター同行)。1日平均3件。
・症例は心肺停止、脳卒中。
 
[建設部長] 排水路聖堂の持続可能性と新たな担い手の確保について
・市は活動費用、保険加入の支援をしている
・昨年は、草刈りについては、98団体、3900人が参加。約1700万円を支援。浚渫については、102団体、9200人が参加。約600万円を支援した。
・地域の実情に合わせて、防草シートを設置したり、市が直接清掃したりしている。
・全国の先進事例も調査していく。
 
[教育長] 15歳からの社会保障教育について
・中学3年生の公民では、憲法の生存権の精神に基づく制度の基本的な理解をもとに、充実・安定の必要性、受益と負担の持続可能な制度の構築など、こえからの福祉社会の目指す方向について理解することを目指している。
・教科書を使って2時間程度の学習となっている。
・総合的な学習の時間において、社会福祉をテーマに車いす体験や高齢者疑似体験などを行っている。

[一般質問 二回目登壇]
ただいまは、それぞれご答弁いただき、ありがとうございました。まず、
〇1件目の「ドクターカー」についてです。
 ドクターカーについては、まだ試験運行が始まったばかりでありますが、西濃地域の救急医療体制にとって大きな可能性を持つ取り組みであると感じております。医師の確保や、将来的に24時間体制にできるのかどうか、また出動範囲のあり方など、今後さまざまな課題も出てくると思いますが、市民の生命を守る取り組みとして、ぜひ着実に発展させていただきたいと思います。大垣市民病院は、大垣市立病院ではありません。しかし、「市民」という冠を掲げている以上、市民の生命と健康を守る地域医療の中核として、大きな役割を担う病院であると私は考えております。今後とも、市民の期待に応える病院として成長していただくことを強く願っております。
 それと、大垣市民病院の経営にも関わる制度的な課題について、少し触れさせていただきたいと思います。医療機関の経営をめぐっては、現在、国の税制上の大きな課題が指摘されています。それが、いわゆる「控除対象外消費税」の問題であります。ただ、「控除対象外消費税」と言われても、一般の方にはなかなかイメージしにくいと思いますので、簡単な例で説明させていただきます。
 まず、医療で使われる薬の値段は、スーパーの商品のように病院が自由に決めているわけではありません。国が定めた「薬価」という公定価格で、全国一律に決められています。例えば、病院が薬を仕入れる場合、本体価格が100円であれば、消費税10円が加わり、病院は110円で薬を購入することになります。しかし、患者さんに提供する際の価格は国が定めた薬価で決まっており、仮にその薬価が100円であれば、病院は110円で仕入れた薬を100円の価格で提供することになります。診療報酬の中で一定程度の補てんが行われているとされていますが、医療機関側からは、その補てんが十分ではなく、結果として負担が残っているとの指摘が長年続いています。本来、一般の商売であれば、仕入れの際に支払った消費税は、販売時に預かった消費税から差し引いて納税する、いわゆる「仕入税額控除」の仕組みがあります。しかし医療の場合、診療報酬は消費税法上「非課税」とされているため、この仕組みを利用することができません。その結果、医療機関が薬や医療機器、あるいは設備投資の際に支払った消費税のすべてを控除できるわけではなく、一定の負担が医療機関に残る構造となっています。これが、いわゆる「控除対象外消費税」と呼ばれている問題であります。この問題については、医療界から長年にわたり見直しの要望が出されています。例えば、日本医師会は「令和8年度 医療に関する税制要望」において、社会保険診療に係る消費税制度の見直しを求めています。
 そして、この問題は決して抽象的な議論ではありません。昨年の決算委員会で拝見した大垣市民病院事業会計決算書では、「雑損失」としておよそ18億円が計上されていました。その主な要因の一つが、この控除対象外消費税であります。医療機関は、高度医療機器の導入や施設整備など、多額の設備投資を行う必要があります。しかし、その際に支払う消費税のすべてを制度上回収できるわけではなく、結果として医療機関の経営に影響を与える要因の一つとなっていると指摘されています。もちろん、この問題は市だけで解決できるものではありません。
税制に関わる問題であり、国の制度設計に関わる課題であります。しかし、大垣市民病院のような地域の基幹病院が担っている役割を考えますと、こうした制度が病院経営に与えている影響について、地方議会としても問題意識を共有しておくことは重要ではないかと考えます。
 また、大垣市民病院をはじめ医療機関は日々さまざまな経営努力を重ねておられますが、こうした制度のもとでは、その努力だけでは吸収しきれない構造的な負担が生じているのではないかとの指摘もあります。全国の公立病院においても厳しい経営状況が続いておりますが、その背景の一つとして、この控除対象外消費税の問題があるのではないかと考えさせられるところであります。
 大垣市民病院は、西濃地域の高度急性期医療を担う基幹病院であり、市民の生命と健康を守る最後の砦であります。その経営を取り巻く制度に課題があるのであれば、その構造について国全体で議論されるべきではないでしょうか。本日は問題提起として申し上げるにとどめますが、医療機関の経営を取り巻くこうした税制のあり方について、今後、国において真剣な議論が進むことを期待するものであります。
 
〇2件目の「排水路清掃の持続可能性と新たな担い手確保について」ですが、
 ある自治会で、来年度の排水路清掃を中止するという決断がなされました。自治会長に理由を尋ねたところ、その背景には地域の急速な変化があるとのことでした。かつては農地を持つ世帯が多く、価値観もある程度共有されていました。しかし近年はサラリーマン世帯が増え、世代間の考え方の違いも広がり、自治会として方向性をまとめることが難しくなっているというのです。特に水路清掃については、「本来は市が担うべきではないか」「高齢化が進み、安全面に不安がある」「担当箇所によって作業量に差があり、不公平だ」といった声が上がっているとのことでした。その結果、来年度は水路清掃を見送ることになったそうであります。
また別の自治会からは、市の支援を受けるために詳細な写真付き報告書の提出が求められ、事務負担が大きいという声もありました。担当課に聞いたところ、この支援の仕組みには明確な要綱や正式な名称がないとのことです。吾輩ではありませんが、「名前はまだない」んだそうです。善意で地域を支えてくださっている皆さまに、制度の根拠も曖昧なまま実質的な業務に近い負担をお願いしているとすれば、これは見直す必要があるのではないでしょうか。支援制度に明確な名称を付け、要綱を整備する。まずはそこから始めるべきではないかと思います。
 そして、提言であります。市の公園みどり課や道路課には技能労務職員の皆さまがおられ、日々、市内の維持管理に尽力してくださっています。感謝申し上げます。一方で、治水課には技能労務職員が配置されておりません。排水路や堤防は、市民の生命・財産を守る基盤であります。自治会任せの体制が限界に近づいている今こそ、治水分野においても現業体制の強化を検討すべき時ではないでしょうか。制度が壊れる前に、支えている人が疲れてしまう。そのことを何よりも危惧しております。地域の善意に依存するだけでなく、行政として何を担うのかを明確にすること。それが持続可能な地域づくりの第一歩であると思います。
 
〇3件目の「15歳からの社会保障教育について」です。
 昨年9月、岐阜県内では初めて、南中学校におきまして「社会保障ゲーム」の体験授業が行われました。こちらが「社会保障ゲーム」です。この教材は、『15歳からの社会保障』の著者である横山北斗さんが開発したもので、事故や病気、失業など、人生のさまざまな「ピンチ」を想定し、生活を立て直すために、どの社会保障制度を活用できるのかを考えるカードを使った学習教材です。当日の講師には、社会福祉政策を専門とされている明治大学大学院の大山典宏教授と、横山さんをお招きしました。
 せっかくなので、「社会保障ゲームを紹介したいと思います。これはグループで行うゲームです。キャラクターカード、ピンチカード、アイテムカードの3種類が入っています。
①まず、代表して誰かが、キャラクターカードを引きます。たとえばこれ。ケンタ君。中学3年生。部活は野球部。お父さんはトラック運転手。お母さんはパート。高校生のお姉さんがいます。
②その次に、それぞれがピンチカードを引きます。例えばこれ。運動して骨折してしまった。三か月間車いすになった。家族が交通事故で亡くなった。非常にピンチです。どうしたらよいのでしょうか。
③そして、グループ全体で、アイテムカードの中から、ケンタ君とケンタ君家族を助けることができそうな制度を探します。労災保険、就学支援制度、遺族年金、生活困窮者自立相談支援機関など自治体には数百の社会保障制度があると言われていますが、カードを使って制度を知ることができます。また、「こんな制度があったらいいなカード」で制度を作ることもできます。このように楽しみながら社会保障を学ぶことができるゲームであります。
 当日は、私も参加しました。生徒たちは真剣に話し合い、制度を暗記するのではなく、「どのような制度があり、それをどのように使いこなすのか」を考えようとしていました。制度には課題があり、財源の問題もあることを踏まえて議論していたことが、たいへん印象的でした。社会保障教育とは、社会の仕組みを理解し、将来その制度を支える主体として、自ら考え、必要であればより良い制度へと変えていく力を育てるものだと思います。
いまの若者は、将来への不安を抱えています。年金はどうなるのか、健康保険はどうなるのか、介護はどうなるのか。しかし、その仕組みを体系的に学ぶ機会は決して多くありません。
 私自身、市役所に勤務しておりましたが、健康福祉部の予算書は市役所の中でも特に分厚く、しかも、福祉制度は毎年のように改正されます。つまり社会保障は、行政職員にとっても理解が容易ではない、非常に複雑な制度です。だからこそ、その基本的な考え方や仕組みを早い段階から学ぶことには大きな意味があると考えます。
 15歳という年齢は、選挙権まであと3年という時期です。社会の仕組みを理解する準備期間として、社会保障をどのように学ぶのか。まずは、困ったときに支え合う仕組みがあるということを知ること。それが第一歩ではないかと思います。
 
〇4件目の「ふるさと住民登録制度について」ですが、
 関係人口とは、「特定の地域に継続的に関わる」人々のことであります。人口を奪い合うのではなく、都市と地方で人口を“シェアする”という考え方であります。人口減少が進む中、地域に不足しているのは「人手」と「アイデア」であり、関係人口の拡大によってそれらを補うことが期待されています。一方で、今回検討されている「ふるさと住民登録制度」は、スマートフォンのアプリなどで比較的簡単に登録できる仕組みと聞いております。利便性は評価できますが、登録人数だけが増え、実際の地域との関わりが伴わないまま、“登録制度”で終わってしまうのではないかという懸念も感じております。登録者数が増えることと、地域の担い手が増えることは、必ずしも同じではありません。
 そこで、関係人口を実質的なものにする視点として、一つの考え方が示されています。
それが 「異・職・柔」という視点であります。“異なる”の異、“仕事”の職、そして“柔らかい”の柔であります。
 まず「異」であります。都会から来た人、若者、女性、外国人など、これまで地域の外にいた人々を受け入れ、その視点や感性を活かすことができるかどうか。
 次に「職」であります。継続的に関わってもらうためには、理念や思いだけでは続きません。副業やプロジェクト参加など、地域で活動しながら役割や収入を得られる仕組みがあるかどうかであります。
 そして「柔」であります。必ずしも完全移住でなくてもよい。二地域居住や季節的な関わりなど、柔らかな関係性を地域の一員として認める懐の深さであります。
人口減少社会の中で、地域との関わりを広げていくことは重要であります。しかし、制度を導入すること自体が目的化してはなりません。本市にとって本当に意味のある制度なのか。誰のための制度なのか。どのような未来像を描くのか。国の制度に追随するだけではなく、大垣市として、どのような人との関わりを未来に描いていくのか。そのビジョンを明確にしたうえで、慎重かつ戦略的に検討を進めていただきたいと思います。 
 
〇最後に、少しだけお話をさせていただきたいと思います。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』という有名な映画があります。私は15歳のとき、栗屋町にあった大垣東宝会館でこの映画を見ました。映画の中で、主人公マーティと科学者ドクター・エメット・ブラウン、通称ドクが、デロリアンに乗って未来へ向かいます。高校生のマーティと白髪のドク。いま思えば、まるでZ世代の若者と町内のおじいさんのような関係にも見えます。若者の行動力と、年長者の知恵。その両方があったからこそ、彼らは未来へ進むことができました。もし私たちがデロリアンに乗って、10年後の大垣を見に行くことができたらどうでしょうか。
排水路清掃は、続いているのでしょうか。未来の自治会は、どのような姿になっているのでしょうか。若い世代も地域活動に参加し、無理なく役割が分かち合われているでしょうか。それとも、いま以上に限られた方々に負担が集中し、善意が疲弊しているでしょうか。
 いま、自治会や地域活動は、善意と責任感によって支えられています。しかし、その担い手が特定の世代に偏り続ければ、いずれ「善意の制度疲労」は避けられません。制度が壊れる前に、支えている人が疲れてしまう。それが、いちばん恐れるべきことではないでしょうか。本当は、未来を確認してから政策を決められれば、それが一番安心なのかもしれません。しかし残念ながら、私たちのまちにはドクターカーはあっても、デロリアンはありません。
時間をさかのぼることも、未来を見ることもできません。善意があるから続くのではなく、無理なく続く仕組みを考えることこそ、私たちの責任ではないでしょうか。
 本日申し上げた質問は、制度や取り組みを否定するためのものではありません。地域を支えてきた善意を、これ以上疲弊させないための問いかけであります。
 1986年、アメリカ大統領であったロナルド・レーガン は、若い世代に向けてこう語りました。「映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の言葉を借りれば、私たちがこれから行こうとする場所には、道など必要ないのです。」と。
未来は、既に決められた道を進むものではなく、私たち自身が切り開いていくものだというメッセージだと思います。
 先日の中学校の卒業式において、石田市長はビデオメッセージの中で「新しい道を切り開いてください」と卒業生たちに呼びかけられました。私たちのまちの未来もまた、誰かが用意した道の先にあるものではありません。市民の皆さん、職員の皆さん、そしてこの議場にいる私たち一人ひとりが、ともに考え、ともに歩みながら切り開いていくものではないでしょうか。デロリアンはありませんが、未来へのハンドルはいま、私たちが握っています。
皆さまとともに、大垣の未来への道を切り開いていくことを願い、私の質問を終わります。



 

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