令和6年12月議会(一般質問)
2024年12月9日月曜日活動記録
▼12月9日(月)、大垣市議会にて一般質問に登壇させていただきました。毎回、長文で恐縮ですが、全文を掲載させていただきます。
【今回の一般質問】
・いのちを守る取組について
・審議会等の見える化について
・分かりやすい予算説明書について
・インターネット掲示場について
【大垣ケーブルテレビ録画放送日】
12月21日(土)9:00~(私の出番は10:00頃です)
12月24日(土)16:00~(私の出番は17:00頃です)
【バックナンバー】
令和5年12月議会
令和6年3月議会
令和6年6月議会
令和6年9月議会
[一般質問 一回目登壇]
▼自民党緑風会の種田昌克でございます。今年も残すところあと数週間となりました。
さて、最近の若い人はYouTubeなどよく見られるそうですが、みなさんもYouTubeですかそれともラジオですか。来年は日本でラジオ放送が始まって100年だそうです。先日、ふと永六輔さんの声が聞きたくなって、試しに「誰かとどこかで」とスマホに入れてみたら、YouTubeで昔の番組を聴くことができました。便利な時代になったなあと思う反面、心に響く番組が減ってきていると感じているところでもありますが、先般、総合福祉会館で開催された障害福祉大会、「片目で見る世界」という講演を聴かせていただきました。講演をされたのは富田安紀子さんという方です。本市のご出身です。富田さんは小学生のときに眼の病気に罹り、左目が失明。右目もいずれは失明を宣告されています。そうした中、保育士や介護福祉士の資格を取得し老人施設で働きながら、和太鼓奏者としても活躍、2021年の東京パラリンピック開会式では和太鼓を演奏、昨年はミスオリエンタル日本大会で準グランプリ、今年は念願のパリコレにも出場されました。
その富田さんですが、眼の病気のため小学校でいじめに遭いました、6年生の時には死のうと考え、包丁でお腹を刺したり自分で首を絞めたりしたこともあったそうです。しかし、救急車で運ばれたものの死ぬことはできなかった。そして、死ぬことがいかに大変かということがわかり、じゃあ生きてみようと思ったそうです。いまでは、当時の同級生がいじめてくれたおかげでいじめられる側の気持ちがわかるようになった。いじめも障害も選ばれないとその立場にはなれない。私は選ばれたんだ。眼の病気は神様からのプレゼントなんだと前向きに考え、現在ご活躍中です。富田さんは片目でしか見ることができません。しかし、心の瞳、心の目は両目が見えていた時以上に見えているそうです。そして、ありのままの自分を好きになろう、一瞬一瞬を大切に生きようと全力で生きておられます。パリコレには右目の義眼を外し、ありのままの自分で、ランウエイを歩かれたそうです。すばらしいと思います。とても感動しました。みなさんも機会がありましたら、ぜひ講演を聴いていただきたいと思っております。
それでは、通告に従い、富田さんに負けないよう全力で4件の質問をさせていただきます。
▼1件目、いのちを守る取り組みについて
わが国では毎年約2万人の尊い命が失われており、深刻な問題となっています。
性別でみると、男性は1万5000人弱、女性は7000人弱となっており、男性は前年比増、女性は前年比減となっています。男性では、会社員や自営業などの人が多く、「生活苦」や「事業不振」といった経済的な問題を抱えている人が目立ち、厚生労働省は「物価高などにより、家計を支える男性が精神的に追い込まれている可能性がある」としています。女性の原因・動機別では、「親子の不和」や「うつ病」、「失恋」など、対人関係の悩みや精神疾患が多いそうです。
一方、小中高生は507人で、過去最多だった一昨年に次いで過去2番目に多い数となっています。18歳以下の相談に応じているNPO法人「チャイルドライン支援センター」には、親や友人との関係に悩む子どもたちから、「消えてしまいたい」などの悲痛な声が寄せられているそうです。ちなみに、30代から70代までいずれも増加していて、女性は20代以下と50代で増加しています。
このような中、2016年に自殺対策基本法が改正され、自殺対策の地域間格差を解消し、誰もが「生きることの包括支援」としての必要な支援が受けられるよう、市町村自殺対策計画を策定することが定められています。また、本市においても現在「おおがき生き生きヘルスプラン」のなかに自殺対策計画が定められ、現在、国は自殺総合対策大綱において、令和8年までに、自殺死亡率を平成27年比で30%以上減少させることを目標にしています。それには、市町村レベルでの対策が重要となってきます。
生きづらさを抱える人たちの声を聴くこと、そしてそのサインを見逃さないこと、そして、もうひとつは、あらためて自分のいのちの大切さを考え知ることが求められています。
そのための試みとして有名なのは、2017年に105歳で亡くなられた日野原重明先生がされていた「いのちの授業」です。この授業は、小学4年生を対象に行われていました。いまでも日野原先生の授業はYouTubeでみることができますのでぜひご覧いただきたいと思いますが、実は、この運動を三重県桑名市のNPOが続けておられます。授業では、在りし日の日野原先生の授業が流され、その後、こどもたちに聴診器が配られ、自分や友達の心臓の音を聞きます。参観日では、お父さんやお母さんの心臓の音を聞いたりもします。授業の最後には、誓いの言葉を唱和します。一つ、自分が持っている命を大切に、ふたつ、家族や友だちのことも大切に、などをみんなで唱和して45分間の授業は終わります。
子どもたちのアンケートには、「私を産んでくれたお母さんに感謝しなければいけないと感じました。」「命はひとつしかないものだとわかりました」などの素晴らしい感想があったそうです。
このNPOでは、令和6年3月現在で、出前授業1,217回、受講者79,263人で学校という枠にこだわることなく、全国で精力的に活動しているそうです。実は、昨日、私も岐阜市内で開催された「いのちの授業」に参加してきました。講師は大垣の方でした。このいのちの授業がもっともっと広がると、大人もこどももいのちの大切さが深く刻み込まれるのではないかと感じます。
〇そこで、4点お尋ねします。
1.国は令和8年までに自殺死亡率を平成27年比で30%以上減らす目標としております が、本市における平成27年および令和5年の自殺者数および自殺死亡率はどのくらいですか。
2.さまざまな理由で生きづらさを抱える方々がおられます。本市における相談窓口はどこですか。その相談は電話やメールでもできますか。相談実績についてもお願いします。
3.市第2次自殺対策計画に、自殺未遂者と遺された人への支援とあります。これはとても大切なことだと思います。では、どのような支援を行っていますか。その内容と実績をお願いします。
4.先ほど紹介しました「いのちの授業」などによって、子どもから大人までいのちの尊さを伝えていくことが大切だと思います。本市においてもすでにいのちの大切さを学んでもらう取り組みをされておりますが、自殺死亡率30%減を達成するために、今後どのように取り組んでいくのかかお尋ねします。
▼2件目。審議会などの見える化について
大垣市には、審議会や市民検討委員会がいくつあるかみなさんご存じでしょうか。私は正確な数を知りませんが、おそらくかなりの数になるのだと思います。
また、毎月2回発行の広報おおがきでは、市民のみなさんに市政に関心を持っていただくために、審議会などの傍聴を呼び掛けています。「行ってみようかな、でもちょっと怖いかな」と思ったりした経験のある方も多いのではないでしょうか。
こうしたいわゆる審議会というのは、メンバーとしては、大学の先生や専門家などのいわゆる学識経験者のほかに各種団体の代表者などそうそうたるメンバーというイメージがあります。実際にその通りです。そこに市民公募委員が数人加わるといった感じだと思います。正直いって、一般市民の方には馴染みが薄いと思います。
私も最近では、「大垣公園等再整備基本計画市民検討委員会」や「地域公共交通会議」などを傍聴させていただいておりますが、傍聴に来られる方は市政に強い関心を持っておられる方が多い印象をもっています。それと、どちらかというとレギュラーメンバーが多く、お互いに顔なじみになっておられる方も多いようです。一般市民が軽い気持ちでそこに入っていくには、少し勇気がいるかもといった感じだと思います。
〇そこで、5点お尋ねしたいと思います。
1.本市において、地方自治法に定める附属機関として、審議会等の総数はどのくらいあるのか把握されていますか。お尋ねします。
2.審議会等には非公開となっているものもあります。その理由は何でしょうか。
3.8月1日号の広報で、行政改革審議会の市民委員を募集しておられました。それと、市民の関心の高い大垣公園等再整備基本計画市民検討委員会には、どれくらいの応募があり、任命された方の数、またその男女比や若年層の数をお尋ねします。
4.私は未来の大垣市について語る審議会において年齢というものを重視しております。厳しい言い方かも知れませんが、20年後、30年後の未来に責任を持てない世代ばかりの会議は意味がないとさえ思っています。ぜひ、20代、30代の方に審議会等に参加してもらいたいと願っております。そこで、若い人に審議会等の委員になってもらうためにどのような取り組みを今後されていきますか。
5.そもそも、審議会の運営ガイドラインはあるのでしょうか。いまの審議会は一般市民にとって見えにくい。市政に関心を持ってもらうために、市政を自分事としてもらうために、人材の掘り起こしのためにも見える化ガイドラインを整備してはどうかと思います。本市の見解をお尋ねします。
▼3件目。わかりやすい予算説明書について
市民のみなさんの疑問のひとつとして「果たして大垣市はお金があるのか、ないのか」という疑問があります。私が地域のみなさんにお会いすると、いろんなことを尋ねられます。たとえば、ほんの一例ですが、「大垣市の借金はどのくらい」「財政は健全なの」「ゴミ袋の収入はいくらで、その金は何に使っているのか」など聞かれます。この夏休みには中学二年生の女の子から「自分たちが大人になったときに、いまの国民健康保険制度や垣老は維持できるのかなあ」という難しい質問を受けましたので、健康福祉部に案内して職員の方にご説明していただきました。その一方、「市議会議員って、普段なにやっとんの」というご質問も受けます。これはわれわれにとって一番痛い質問です。まさに、私の不徳の致すとこころ、努力不足といったところで、本日の4つの質問のテーマでもありますが、もっと市民にとって「見える化」をしなければならないし、もっともっと街に出て市民のみなさんと語り合わないといけないと反省するところであります。
さて、予算については毎年4月1日号の広報で特集が組まれております。財政状況については10月15日号で公表されています。さらにいうと、市のホームページで財政課を検索すると、予算書、予算明細書、決算カードなどがPDFで添付されていますが、一般のひとにはわかりにくい。それよりも、2年前にリニューアルした「選ばれるまち大垣 当初予算案の概要」はとてもわかりやすいです。でも、大垣市財政課職員の能力をもってすればもっともっと良いものができると思っています。かつて一緒に仕事した仲間ですからわかります。正直な気持ちです。
たとえば、北海道ニセコ町では、このような「もっと知りたいことしの仕事 ニセコ町予算説明書」という冊子を毎年、町民に配布しています。この冊子ですが。町外の人は有料で購入することができます。いったいどういう人が購入するのでしょうか。私も購入しているひとりですが、うっかりしていると売り切れることもありニーズがあるんだなと思います。ちなみに1,100円です。通常の予算書は「事業名」と「金額」の記載が主になっていて、実際にどのような事業が行なわれるのか、その内容がわかりにくいものです。そこで、少しでも具体的な事業の内容をお知らせすることを目的に、平成7年度からこの予算説明書の発行が始まったそうです。この予算説明書は、その年の目玉事業や主要な施策だけでなく、すべての事業や町の財政状況について掲載しています。つまり、自治体にとって都合の良いことだけでなく、すべてをお知らせしているわけです。その他にも、長野県岡谷市や東京都清瀬市のようにホームページにPDFでわかりやすい予算書を公開している例もあります。必ずしも印刷して全戸配布となると大変なのでこうした方法もありかなと思います。
そのほかに、Where does my money go?(税金はどこへ行った?)というサイトがあります。こういうサイトです。自分が納めた税金がどこで使われているのかがわかる優れものです。自分が単身世帯か扶養有りかを選んだあと年収を入力すると、自分が市に収める税額が表示され、さらに、自分が納めた税金が1日あたりどこでいくら使われているのかが表示されます。たとえば、議会費に1日5円56銭、総務費に130円16銭、民生費に193円57銭といった具合です。これは三重県いなべ市などの自治体が導入しています。
〇そこで、2点お尋ねします。
1.市民にわかりやすい予算説明書を検討してはどうでしょうか。
2.Where does my money go?大垣市版を検討してはどうでしょうか。
▼4件目。インターネット掲示場の導入について
みなさんは、市役所北側入口にある掲示場を知っていますか。また、どのようなものが掲示されているかご存じでしょうか。昔から、自治体と税務署、裁判所などがいわゆる門前掲示をしていますが、実際に掲示されている印刷物を読んだ経験がある方は少ないと思います。しかも、掲示する紙にはなぜか画鋲を1か所しか留めず、紙がめくれていることが多くとても読みづらい。私も職員時代にこの掲示場に公示送達をしていましたが、なぜ、こんな変な制度がまかり通っているのかと不思議に思っていました。誤解を恐れずにいうと、行政が「公示しましたよ」というアリバイ作りしているのではないかとさえ思わずにはおられません。
このシステムについて、少し説明しますと、地方自治法第16条の3で、各地方公共団体に公告式を条例で定めるように義務付けています。本市も大垣市公告式条例で、条例、規則、告示等を掲示することで公告式としています。公告式とは、ある事柄を広く一般の人に知らせるために用いられる方式のことで、こうした法令を周知する方法として、掲示場に掲示するやり方はずいぶん古い時代から行われていました。高札場(こうさつば)といって、ここには人々が知っておくべき重要な法令が掲げられていました。また一方で、法令を書面や口頭で、町から町へ、村から村へ順送りに、回して周知していく回達(かいたつ)という方式もとられていました。
先日、各務原市のホームページを見ていたら、実名入りで、次のような市民のご意見ご提案が紹介されていました。「市庁舎などにて、屋外敷地内掲示板に掲示されている市の公告・告示について、廃止を提案する。その理由は、正直言って、誰一人として見る市民はなく、無用の長物となっている。それに替えて、インターネットでの市のホームページに掲載してはどうか」というご意見でした。なるほどと思いました。
このような市民の声に答えたのかどうかわかりませんが、2023年6月に「デジタル規制改革推進の一括法」が公布され、アナログ規制7項目について、条例等で定められている場合、点検、見直しを行うこととなりました。今後、本市においても7項目すべてについて洗い出しをされると思いますが、その数は数百にもなるのではないかと推察しております。これらのうち、公示送達のデジタル化も見直し項目の一つとされており、一部の掲示物については、国においてインターネットへの掲示を義務付ける動きとなっています。ちなみに、公示送達とは、市役所の掲示場に一定期間公示することで書類の送達がされたものとみなされる制度のことです。納税通知書などの送付先住所が判明しない場合などに公示送達を行うことがあります。
〇そこで、3点お尋ねします。
1.掲示場には、どのようなものを公示されていますか。
2.インターネット掲示場を運用するうえで、何が課題だと考えておられますか。
3.全国的には、すでにインターネット掲示場を導入しているところもありますが、本市の予定はどうでしょうか。
以上、1回目の質問とします。
【答弁】
[市長]いのちを守る取組について
・令和3年3月に策定した「おおがき生き生きヘルスプラン」(大垣市第2次自殺対策計画)に基づき、自殺対策に取り組んでいる。
・本市の自殺者数は、平成27年は38人、令和5年は24人に減少。
・人口10万人あたりの自殺者数である自殺死亡率は、23.33から15.07と約35%減少した。
・保健センターに「こころの相談」窓口を設置。令和5年度は22件の相談対応。
・自殺未遂者への支援件数は、令和3年度から5年度までの3年間で5件。
・遺族への支援については、自死遺族の会「千の風の会」リーフレットを設置し、必要な情報提供を行っている。
[総務部長]審議会等の見える化について
・本市では83の審議会等を設置している。
・個人情報等非公開条例に該当する事項を扱う場合は、非公開。
・大垣市行政改革推進審議会は4人の応募あり。男女1人ずつ選任。
・大垣公園等再整備基本計画市民検討委員会は7人の応募あり。女性3人を選任。
・さらなる見える化に取り組んでいく。
[総務部長]分かりやすい予算説明書について
・広報やホームページで予算・決算に関する情報を公表している。
・情報発信を充実させるため、ご提案いただいた北海道ニセコ町の予算説明書を含め、他自治体の例を研究し、分かりやすい予算・決算情報の提供について積極的に検討していく。
[総務部長]インターネット掲示場の導入について
・法令等に基づき広告や告示が必要な文書は、大垣市公告式条例に基づき、市役所掲示場に掲示している。
・掲示する文書は、条例等の制定・改正文や所在不明のため送達できない納税通知書など。
・課題としては、氏名や住所等の個人情報が不特定多数に公開されてしまうこと。
・公示・告示の範囲や市民のニーズやプライバシー保護を見極めながら検討していく。
[一般質問 二回目登壇]
ただいまは、それぞれご答弁いただき、ありがとうございました。
▼まず「審議会等の見える化について」ですが、本市にも審議会に関する要綱があると思いますが、市民から見てもわかりやすい形で示してはどうでしょうか。例えば、豊川市の「審議会等見える化ガイドライン」は、「公正で透明性の高い市政の推進」を謳っておられます。
また、八王子市には市民参加条例があります。市の基本的な計画の策定や変更のとき、市民の権利や義務に係る条例の制定や改廃のとき、大規模な公共施設の設置に係る計画等の策定や変更のときなどに市民参加を実施すると書いてあります。さらに、①市と市民は、市政に関する情報を共有します。②市民が自発的、自主的に参加できることとします。③市民のみなさんが自由に参加できるよう、可能な限り配慮します。④市民と市、市民と市民の間に生まれる信頼と共感を大切にします。と4つの原則が書かれています。
市民参加には、いろんな方法が考えられると思います。本市が従来から行っているパブリックコメントや審議会、説明会、アンケート調査はもちろんのこと、例えば、タウンミーティングやワークショップなどの開催も検討してはいかがでしょうか。市と市民がより良いパートナーになれると信じています。
また、審議会に若い人の参加を促す方法ですが、無作為抽出で選ばれた市民が国や自治体に政策提言する取組が国内で広がりつつあります。市民が行政に参加するこうした手法は「くじ引き民主主義」と呼ばれています。様々な立場の市民の意見を反映させるのが狙いで、いくつかの自治体ですでに導入されています。
たとえば、武蔵野市では、「一緒に考えてみませんか。未来のはなし。参加者募集にあたり無作為に抽出した方にお送りしています」と書かれ、住民基本台帳から抽出した16歳以上の約1500人に文書を送付したそうです。受け取った30代の女性会社員は「びっくりしたけど、市民が参加できるのが面白そうだと思った」と参加を決めたそうです。
そのほかにも、福岡県大刀洗町(たちあらいまち)は、毎年、テーマを決めて住民協議会を開催しています。
京都府長岡京市では、無作為抽出によって選ばれた市民を中心に地元の課題を自分の問題として考えてもらう「自分ごと化会議」を開催しています。会議では、環境、防災、防犯、高齢者、子ども、子育てなどいろんな分科会があり、参加された方は「これまで地域の課題にそれほど関心がなかったが、参加してから自分の子どもや市の将来のために何かできることがないかと強く思うようになった」と言っておられます
いまは、住民の価値観が多様化しています。住民にも納得感のある政策を実施するためにも取り入れる価値はあると感じています。それとこの方法には、普段、声を上げない人の率直な声を引き出すことができる、多様な意見の掘り起こしなどの利点もあります。
裁判員制度など、無作為に選ばれた市民の意見を取り込む制度は、私たちの社会に少しずつ浸透しています。先日、村上佳菜子さんの「日曜まなびより」というラジオを聞いていたら、市民が参加する裁判員制度が始まってから15年になると言っていました。昨年からは18歳、19歳も裁判員に選ばれるようになり、最高裁によると、これまでに裁判員と補充裁判員を務めた人は全国で12万人を超え、96.5%の人がよい経験だったと回答しているそうです。
最後に、私なりに審議会の課題を述べさせていただきますと、まず、敷居が高いと思います。一般市民の方は学識経験者のなかにポツンとひとり、転校生のような気分ではないでしょうか。二つ目、そもそも公募委員が少数派。もっと増員してはどうですか。三つ目、雰囲気が硬い。言いたいこと言える雰囲気づくりをしてはどうでしょうか。四つ目、傍聴者への配慮がいまひとつだと思います。私も傍聴させていただきましたが席が遠すぎます。もっと近くで聞きたいと思いました。五つ目、名目だけの市民委員ならいらないと思います。市民の声を本気で吸い上げていただきたいと思います。
いずれにしても、今後、市民のみなさまが参加したくなるよう、審議会の見える化に取り組んでいただきたいと思います。
▼次に、「分かりやすい予算説明書について」ですが、先ほどは紹介しませんでしたが、私が知る限り一番わかりやすいのは、福岡県北九州市が毎年発行している「マンガで読める!わかりやすい北九州市の財政」です。マンガの得意な高校生や大学生などを巻き込んで大垣市版を作れるんじゃないかと思いますがいかがでしょうか。期待しております。
▼「インターネット掲示場の導入について」です。これまで、閲覧、縦覧など庁舎への来訪が必要だったものが、いつでもどこでも必要な情報を確認できるよう利便性の向上を図ることは大切ですが、現状維持というかアナログ維持しなければならないものもあると思います。一律にデジタル化するのではなく、メリット、デメリットを検討したうえで進めていただきたいと思います。
とりわけ、住民基本台帳の職権消除は神経を使うところだと思います。消除された人の名前をホームページに出して良いものかどうか、プライバシーの問題との関係で悩むところだと思います。未来永劫ネット上に残ってしまう可能性もあります。
近隣自治体では、一宮市、鈴鹿市、知多市などで、すでにインターネット掲示場を導入されていますので、研究していただきながら慎重に進めていただきたいと思います。
▼今回の4つの質問は、「見える化」をテーマに質問をさせていただきました。サンテグジュペリの「星の王子様」に出てくるキツネは王子様に「本当に大切なものは目には見えないんだよ」と言います。そういう意味では、冒頭に紹介した富田さんはしっかりと心の目で見ておられ、もしかしたら我々よりも世の中の真実を見られているのかも知れません。われわれも市職員も、さらにもっと、「声なき声を聴き、形なきを見る」努力が大切であると考えます。
先ほども申し上げましたが、議員の活動についても市民のみなさんに見えるように努力していく必要があります。たとえば、われわれ自民党緑風会では、今年も、棚橋泰文衆議院議員とともに国交省、財務省、文部科学省をまわり大垣市への来年度以降の要望活動をしてまいりました。そのなかには、屋内運動場へのエアコン設置などの施設整備に対する負担金や交付金の予算額を拡充し、補助単価を引き上げることなども要望し、菅義偉副総裁にも面会し、ご支援いただくよう要請してまいりました。こうした地道な活動をわれわれ自民党議員はコツコツとやっていることを、市民のみなさんに「見える化」していかなければならないと痛感しております。
▼さて、「いのちを守る取組について」ですが、私が調べたところ、今年1月1日から11月30日までの11か月間の、本市における自損行為、つまり自殺未遂件数は80件となっています。男女別では男性31件、女性49件、年齢別では10代が15人、20代が19人となっています。ちなみに、昨年1年間の自損行為件数は56件でしたので大きく増えています。
子どもの自殺の原因は、不明とされるケースが多いといいます。文部科学省は、24時間体制で相談に応じるSOSダイヤルを設けています。教室など子どもの目に触れやすいところに電話番号を表示してはいかがでしょうか。また、いまの若い人は、窓口や電話での相談に来ることに抵抗がある方も多いようです。これは、名古屋市子どもの権利相談室行きの料金受取人払いの「手紙相談」というものです。「困っていることや悩んでいることを教えてください秘密は守ります」「相談してくれてありがとう。返事が欲しいときは、あなたの名前と手紙の送り先や電話番号を書いてください。返事が欲しくないときは書かなくて良いですよ」とあります。これに子どもたちは悩み事などを書き糊付けしてポストに投函することで相談できる仕組みです。アナログなやり方ですが、スマホなどを持たない小中学生などにはとても有効な手段だと思います。ぜひ、本市でも取り入れていただきたいと思います。
今も昔も、生きづらさを抱えている人はたくさんいます。とりわけ、若いころはさまざまな悩みがあって当然だと思います。かつて私も、中学から高校くらいまで、生きづらさを感じていたひとりです。しかしその悩みを誰かに聞いていただくことで心が軽くなることがあります。時間が解決してくれる場合もありますし、その解決までの道のりは手探りでひとさまざまであります。私の場合、救ってくれたのは深夜ラジオでした。ラジオ黄金時代でしたので、中学1年から高校3年までほぼ毎晩、チャンネルを合わせました。これまでの人生で送ったはがきはおそらく数百枚はくだらないと思います。いろんなラジオパーソナリティの方が、はがきを読み、心からのアドバイスをしてくれました。
さて、本市議会も6月からYouTubeで見ることができるようになりました。私も、これまでに、幅広い年代の方から励ましのお手紙をいただいたり、高校生の方からはメールをいただくようになりました。すごくうれしく思っています。お返事を書くのが密かな楽しみになっています。この一般質問も後日若い人を含め多くの方が聞いてくださると思っています。
私の経験が、今の若い人たちに参考になるかどうかわかりませんが、悩みを抱えているのは今も昔も同じだと思います。今日は最後に、昔、あるラジオ番組で読まれた中学3年生の女の子のはがきを紹介させていただきたいと思います。いささか「時代」を感じさせるかも知れませんが、決して「ひとり上手」にならないよう「ファイト!」を出して読んでみたいと思います。どうぞお聴きください。
〇「お別れのハガキを読む時間になりました。この方の、住所読まないで、ペンネーム生きるのってつらいねと書いてあります。女の子からです。みゆきさん、こんにちは。私、世界で一番のブスです。誰が見たってブスです。自分でもわかっています。わかってるんです。でも、ひとから変な態度をとられるとやっぱり傷つくんですよね。まわりの友だちから、毎日、ブスって言われて、街歩いていても吐く真似されて、学級の男子からはにらまれて、おまけに、生徒会長の人からは目の前でいろんなこと言われて、ああ、目の前がかすんで見えない。字も書きにくい。でも、がんばって書きます。私、今年受験です。志望校に願書も出します。だけど、その高校には怖い人がいます。中2の終わりころ、目の前に立って何度も何度も吐く真似されて、みんなの笑いものにされました。同じ高校に入ったら、また嫌なことされて、毎日、泣かないといけないのかと思うと勉強できません。死にたいなと思ったり、私が死んだら、あの人たち喜ぶだろうなと考えます。お母さん恨んだけど、恨んじゃいけませんよね。ここまで育ててくれたんだもの。みゆきさん、こんな私でも生きてて良かったと思うことありますよね。堂々と人前、歩くことができる日、来ますよね。その日を楽しみに頑張ります。そして、みゆきさんのコンサートの日には、今のわたしでない私になってみようと思います。といただきました。日本中で、この番組を聴いている人。誰が一番みにくく見えるか分かると思います。このハガキをくれたあなた、そのくらいのことわかる人、日本中にいっぱいいると思います。いま、あなたの周りにいる学校のそういうことを言う、あなたを傷つけた仲間だけが人間だと思わないで欲しいと思います。これから、いろんな人に会っていくことだと思います。世の中狭く見ないでくださいね。女の子は金さえかければ、ある程度いくらでも美人になれると思います。顔というのはいくらでもつくれます。金さえかければ。でも、金かけても綺麗になれないものもあると思います。コンサートの日には、あんたのままのあんたでおいでよね。また来週。」
▼エンディングの曲が流れて番組は終了です。
ご存じの方もおられると思いますが、この番組は中島みゆきのオールナイトニッポン、1984年、昭和59年2月7日の放送回です。ファンの中ではいわゆる神回と呼ばれているうちのひとつです。この中島みゆきのオールナイトニッポンは毎週月曜、深夜1時から3時の時間帯で放送されていました。私は中学、高校時代、眠い目をこすりながら、この番組を聞き続けました。決して、安易な助言をすることなく、正面から気持ちを伝えてくださり、ときおり、お茶目で温かい語り口の中島みゆきさんにはがきを読んでいただくことで何度も救われました。幸運にも読まれたときの録音テープは、つらいときや落ち込んだ時、その都度、繰り返し聞き、人生の羅針盤、いまでは宝となっています。
これは私からのメッセージです。いま、悩みを抱えているあなた、決して、ひとりで悩まないでください。誰かに弱いところを見せるのは決して恥ずかしいことではありません。市役所も学校もわれわれも、中島みゆきにはなれないかもしれないけど、みんなそれぞれの立場で「声なき声を聴き、形なきを見る」。そういう世の中にしなければならない、そう願っています。
放送から40年。あのころ、毎晩エアチェックしていた悩んでばかりの無口な少年は、今日、いま、こうして、元気に議場に立っています。あのはがきを出した女の子も、きっと、いまこの日本のどこかで、「生きててよかった!」と元気に、堂々と街を歩いていることと信じています。
令和6年最後の一般質問に際し、新年が、日本全国、人類すべての方々の人生に、幸多からんことを祈りながら、私の質問を終わります。ありがとうございました。