男性の寿退社が増えている!?
2026年1月5日月曜日雑感
2024年も、実に40道府県で「社会減」──つまり、亡くなる人よりも、出ていく人の方が多い状態が続いています。
なかでも目立つのが、大学卒業のタイミングにあたる20代前半の流出です。しかも、性別で見ると、女性の流出は男性の約1.3倍。
「若者が減っている」という言い方では、もう実態を言い表せていない気がします。そんな中、新聞でこんな記事を目にしました。
「最近、男性の寿退社が増えているらしい」。
一見すると意外ですが、実は今の若い世代の価値観を考えると、とても腑に落ちる話でもあります。
かつては、「男性の方が年齢も年収も高いのが普通」
「夫が稼ぎ、妻が支える」
そんな“上位婚”が当たり前の時代でした。しかし今は違います。
今の若者たちが選んでいるのは、「平行婚」。夫婦が対等に働き、世帯としての安定を考える。特にZ世代(現在の10〜20代)では、「どちらが転職した方が、生涯年収で損をしないか」という、かなり現実的な判断がなされています。
たとえば、理系の男性。今の日本では、場所を問わず比較的就職しやすい。一方で、女性は地域によって賃金差やキャリアの選択肢に大きな差が出やすい。
そうなると、「女性の年収が落ちにくく、夫婦そろって働きやすい東京圏に行く」
「男性が転職する方が合理的」
という判断になるのは、ごく自然な流れです。事実、2021年の出生動向調査を見ても、その変化ははっきりしています。
若年女性が理想とする生き方の1位は「仕事と家庭の両立」(34%)。
これは親世代、30年前のちょうど2倍です。
さらに注目すべきは、若年男性も同じ方向を向いていること。
パートナーに望む生き方の1位は、同じく「両立」(39%)でした。
もう、「女性が家庭、男性が仕事」という話ではありません。
男女ともに、
「どうすれば二人で無理なく生きていけるか」
を真剣に考えているのです。
ここで、地方はどうでしょうか。
仕事の選択肢は限られ、
共働き前提の制度や職場文化も十分とは言えない。
結果として、合理的に考えれば考えるほど、若者は都市へ向かう。
これは「地方に魅力がない」からではありません。
若者が、あまりにも合理的になったというだけの話なのかもしれません。
地方創生という言葉を使うなら、
イベントや観光の前に、
「このまちで、二人が働き続けられるか」
「どちらかに無理を強いない選択肢があるか」
を、もっと正面から考える必要があると思います。
男性の寿退社が増えている、という小さな変化。
そこには、若者たちの静かで、切実な合理性が表れています。
地方がこの変化をどう受け止めるのか。
その答えが、これからの人口動態を大きく左右していく気がしています。