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令和5年12月議会(一般質問)

2023年12月11日月曜日活動記録

▼12月11日(月)、大垣市議会にて一般質問に登壇させていただきました。今回も長文で恐縮ですが、全文を掲載させていただきます。

【今回の一般質問】
①市民会館廃止に伴う跡地について
②解体工事に伴う事前周知のルール化について
③学校図書館について
④国保データベースシステムの活用によるフレイル予防について


◆大垣ケーブルテレビ録画放送日
12月19日(水)13:00~(私の出番は15:30頃です)
12月22日(土)14:00~(私の出番は16:30頃です)

【質問】
▼自民党緑風会の種田昌克でございます。
 さて、ずいぶん前に読んだ小説に、とても印象に残っている一節があります。ある少年がこのように語っています。「この国には何でもある。本当にいろんなものがあります。だが希望だけがない。」村上龍「希望の国エクソダス」という小説です。エクソダスとは、国外脱出という意味で、元来は、「旧約聖書」にある出エジプト記で、モーゼに率いられ、ヘブライ人つまりイスラエル人がパレスチナに脱出したことをいいます。小説で少年は、わが国のことを「ゆっくりと死んでいる」ともいい、沈みゆく船から逃げ出すように日本を捨てていきます。
わが国がこの小説のようにならないよう、希望があふれる大垣市として新年を迎えるため、通告に従いまして、4件質問したいと思います。
 
▼まず1件目、市民会館廃止に伴う跡地についてお尋ねいたします。
 市民会館については、今年4回目の質問となります。前回、9月議会におきましては、市民会館廃止に伴う、新たな市民サービスセンターと避難所についてご質問させていただき、ご答弁いただきました。これについて、地元住民の反応や声を聞きたいと思いまして、市民会館に近い築捨町自治会、新田町自治会にご協力をいただきアンケート調査を実施しましたところ、10代から80代の480人からご回答をいただくことができました。
 まず、市民サービスセンターについては、イオンモール大垣に新設されることに対し、賛成が56%、反対は21%、そのほかわからないなどが23%で、おおむね好意的に受け止められていると感じました。
 避難所については、新たに「大垣健診プラザ」などを指定していただきましたが、新田・築捨町地内もしくは近いところで、さらに避難所が必要という方が55%、必要でないという方が10%、わからないなどが35%という結果でした。では、具体的に、どこが避難所として良いかと聞いたところ、武道館24人、西濃運輸7人、看護学校5人などさまざまな意見がありました。ぜひ、今後とも引き続き避難所の拡充に努めていただきますようお願いいたします。
 最後に、跡地利用についてもお聞きしました。「跡地を市が保有するか、売却した方が良いか」という問いに対して、89%の方が売却せずに市の保有のままでという回答でした。売却した方が良いと回答された方は約9%でした。9割近い方々が、跡地を売却しないで欲しいと望んでおられます。しかし、地域をまわっていますと、「どうせ、市役所はもう売却を決めているに違いない」「以前も旧南部給食センター跡地を公園にして欲しいと要望書を出したのに、結局、売られてしまった」という声を聞くことがあります。確かに、市民会館のすぐに東にあった旧南部給食センター跡地は、平成28年に売却されました。いまだに地元の方の中にはそのことについて、当時、事前説明がなかったことに不信感というかモヤモヤした感情をいだいておられる方がおられます。
 先ほどのアンケートの詳細について補足ですが、地元自治会で班回覧していただいておりますし、市民のみなさまにおかれましては、私のホームページからご覧いただきたいと思います。
 本日は、自治会の方も傍聴に来ておられます。そこで、単刀直入にお尋ねします。市民会館跡地について「売りますか」「売りませんか」ご答弁願います。
 
▼2件目、「解体工事に伴う事前周知のルール化について」質問いたします。
 近年、更新時期を迎えた家屋、ビル・マンション等の建てかえや再開発が増え、それに伴い解体工事も市内のあちらこちらで行われています。私も市民の皆さんから、「解体工事の被害をもっと軽減できないのか」、「行政はもっと業者を指導できないのか」などの御相談を受けることがあります。
 今年の夏のことですが、市外から来た業者が、ご近所に十分な説明もなしに解体工事を始め、トラブルになるという事案がありました。
 解体工事を行う際は、近隣住民や通行人などに迷惑をかけることになるため、「建設業法」、「建設リサイクル法」、「大気汚染防止法」で標識看板の設置が、「騒音規制法」及び「振動規制法」で市への届出が義務付けられておりますが、結論から申しあげると、この工事はビル及び工場の解体でしたが、標識看板の設置はありませんでしたし、近隣への事前挨拶については、平日の昼間にまわったそうですが、ほとんどの家は留守だったため、郵便受けに名刺だけ入れたとのことでした。計画書などのお知らせは配りませんでした。
 そのため、住民からするとある日突然、解体工事が始まったような感覚だったそうです。「これまで体験したことがないような揺れであり、地震のようであった」とのことで、そのため、工事を中断してただくように現場に頼みに行ったところ、ガードマンどころか日本語のできる作業員もおらず、標識看板もありませんでしたのでどこに苦情を言ったらよいのかわからないまま、工事は朝8時前から夜9時過ぎまで続いたそうです。
 今回の解体工事で発生した騒音や振動に伴って、近隣住宅の外壁等には亀裂が走り、水道管が壊れたり、窓サッシやドア枠が歪むなどの財産的被害が生じたほか、居住者の中には不安などにより不眠の症状が出たとの報告を聞いております。ちなみに、これらのお宅は築5年から6年ぐらいの新しい住宅がほとんどです。いかに振動が大きかったかがわかります。
 今後もさまざまな工事が市内で行われるかと思います。先月も近所でビルの解体工事がありました。こちらは市内の解体業者が施工されました。どのように工事をされるのか注視しておりましたが、きちんと標識看板を設置され、近隣には計画書をもって説明にまわられておられました。また、工事期間中も防塵防音壁が設置され、放水なども徹底し粉塵などは全く飛んできませんでした。ほとんどの業者が、このようにしっかりされていると思いますが、一部の業者、今回のように名刺1枚がポストに投げ込まれただけで、1週間もしないうちに解体工事が始まったというケースもなかにはあります。
 最初の事例のような問題が発生したあと、10月2日に、本日傍聴に来ていただいておりますが、地元自治会長さんが解体業者、工事発注業者を呼んで住民集会を開催しました。非常に関心の高い出来事でしたので、被害があった方もなかった方も多くの住民が参加されていました。私も参加させていただきました。そこでは、住民が撮影した解体工事現場の実態を動画で流し、情報を共有認識したうえで、具体的にどのような被害があり、被害調査については、どの第三者機関に依頼したら良いのかとか、建物被害の補修などについて話し合いが行われました。その集会において、被害を被った住民から「行政として、こうした解体工事について事前周知とか何らかの指導を行っていないのか」とのご質問をいただきました。
そのため、建築指導課に伺いましたところ、職員は困った顔をして「解体等工事の事前周知については、残念ながら法令等では定められていない。」との回答でした。その回答を、第2回住民集会で報告させていただいき、自治会長から「種田さん、今回の件はともかく、今後、大垣市で同じようなことで苦しむ人がないように取り組んでください」との要望を受けました。
いま私は、地域のみなさんの代弁者として申し上げたいと思います。
近隣住民への事前周知や事前説明会に関する法律がないのは問題であり、法の未整備であるとさえ考えます。法律で規制されていなければ、住民の生活をおびやかしても許されるのか。私はそうは思いません。
しかし、われわれの暮らす大垣市においては、市民の生活を守るために、事前の一策は事後の百策に優るともいいます。ぜひ近隣市町に先駆けて事前周知に関するルールを設けていただきたく要望いたしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 
▼3件目、学校図書館についてお尋ねします。
 学校図書館というと、アレを思い出します。木製の直角台形の板で、側面に学年とかクラスとか名前が書いてあり、借りたい本を書棚から抜き出し、そこに差し込んで使うものです。代本板と呼んでいました。学校図書館では、当たり前の光景でした。とりわけアナログ世代には、うなずく人も多かろうかと思いますが、誰が何を借りているかが一目で分かるようになっていました。
 さて、すべての学校に図書館の設置を義務づけた「学校図書館法」の公布から70年を迎えました。スマホで簡単に情報を入手できる現代においても、子どもの読解力と思考力を育むために「学校図書館」の役割はますます大きくなっています。
 そうしたなか、文部科学省は、学校図書館の充実のため、2021年度、全国自治体に図書購入費として220億円の地方交付税交付金を措置しました。しかし、全自治体に2021年度の図書購入費を尋ねたところ、合計約126億円にとどまり、地方交付税で措置された220億円の57%しか図書購入に使われていなかったことがわかりました。地方交付税交付金の使途は自治体の裁量に任されています。子どもたちのためのお金が、もし他の政策に使われたとしたら看過できるものではありません。
 ちなみに、学校図書館の児童生徒ひとり当たりの図書購入費について、読売新聞が全国の自治体に調査したところによると、多いところは小学校で4,240円、少ないところは316円。中学校で多いところは5,484円、少ないところは206円となっており、児童生徒ひとりあたりで小学校は約13倍、中学校では約27倍の差があることがわかったそうです。
 また、国は公立小中学校で学級規模に応じて整備すべき蔵書数の目安を示す「学校図書館図書標準」を策定しています。各自治体は標準達成のために努力しなければならないとされています。
 そこで、1点目、地方交付税で学校図書館図書の経費が措置されていますが、そのうち本市の図書購入費の実績及び図書標準の達成状況をお尋ねします。
 次に、学校図書館法では、一定規模以上の学校に「司書教諭」を置くよう義務づけ、図書館専従の「学校司書」の設置を努力義務としています。司書教諭は学級担任との兼務が多く、そういう意味でサポート役の学校司書の存在は大きいと考えます。そこで2点目として、本市の小中学校における「司書教諭」と「学校司書」の配置状況はどうなっていますか。また、学校司書は正規職員ですか非正規職員ですかお尋ねします。
 最後3点目ですが、学校図書館の年間1人あたりの貸し出し数は、全国平均で、小学校では49冊、中学校では9冊だそうです。本市の小中学校における1人あたりの貸し出し冊数はどのくらいでしょうか。また、市立図書館との連携状況についてもお尋ねします。
 
▼4件目「国保データベースシステムの活用によるフレイル予防について」お尋ねします。
 平均寿命が世界最高水準に達している我が国において、人生100年時代が現実的になってきております。それを踏まえ、高齢者の健康寿命の増進を図り、できる限り健やかで快活な日常生活の実現が望まれております。
 そうしたなか、令和2年度から「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施」という新たな制度が始まりました。これは、後期高齢者の医療保険者である後期高齢者広域連合と市町村が協力して、健康維持、フレイル予防に努める新たな取り組みで、「高齢者の特性にあった保健事業をおこなうこと」や「国保データベースシステムいわゆるKDBシステムを活用し、地域の高齢者の全体像を把握し、必要な人に必要なサービスが行き届くように計画を立てること」など、さまざまな方針があげられています。市町村これまでの保健事業および介護予防をさらに進化させ、より効果的、効率的に展開していくことが必要不可欠となっているところです。
 高齢になると、加齢とともに心身が老い衰える「フレイル」の状態になりやすくなりますが、適切な働きかけにより改善しうるといわれています。
 これまでは、本市においても、介護予防や介護保険をおこなう担当、住民の健康づくりなどを担う担当、健診をおこなう広域連合が、各々の制度において事業を実施してこられたかと思います。仮にそれぞれの保有する情報や資源が共有されませんと、市民に対して包括的なサービスを提供しにくくなると考えられます。そうしたことにならないように、各担当課がお互いに共通の目的意識を持って、フレイル対策につなげていくことが求められているのではないかと考えます。
 そこで1点、KDBシステムは、健診、医療、介護などの情報を活用し、統計情報や個人の健康に関する情報を提供することを目的としてつくられたシステムであると考えます。では、具体的にどのように健康寿命延伸のためにデータを活用して、高齢者が抱える健康課題を把握、予防支援につなげる取り組みをしているかお尋ねします。
 
以上、1回目の質問とさせていただきます。

【答弁】

【市長】
▼国保データベースシステムの活用によるフレイル予防について、ご答弁申し上げます。
 国では、令和元年に健康寿命延伸プランを策定し、令和22年までに、健康寿命を男女ともに平成28年と比較して3年以上延伸し、75歳以上とすることを目指しております。
 こうした中、本市では、加齢や生活習慣病等により、心身機能が低下した状態であるフレイルを予防する事で、健康寿命の延伸に向け、令和3年度より、「高齢者の保険事業と介護予防の一体的実施」に取り組んでおります。
 その取り組みに当たっては、高齢者の医療、介護、検診に係る情報を一元管理する事ができる、国保データベースシステムを活用して、健康課題の分析やフレイルのおそれのある高齢者を把握し、効率的かつ効果的な保健事業を実施している所でございます。
 具体的な取り組みと致しましては、当該システムのデータを分析し、認知機能や口腔機能と関連性のある低栄養防止と、糖尿病性腎症の重症化予防のため、保健師等が家庭訪問や電話により個別指導を実施しております。
 また、要支援認定者において、筋・骨格系の疾患が多いという分析から、高齢者が楽しく笑いながら、会話や運動を行う「笑・話・歯動場」において、フレイル予防に関する健康教育や運動の実践、質問票を使った健康チェック等に基づく健康相談を行っております。
 これらの事業効果の検証につきましては、長期的な取り組みが必要となって参りますが、低栄養防止の取り組みにおきましては、対象者の体重や栄養状態の維持・改善につながっている所でございます。
 今後も、関係機関と連携しながら、フレイル予防を始めとする「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施」に取り組み、健康寿命の延伸を図って参りますので、ご理解賜ります様お願い申し上げます。
 
【教育長】
▼学校図書館について、ご答弁申し上げます。
 学校図書館は、児童生徒の豊かな学びを支えると共に、健全な教育等を育成する重要な機能や役割を有していると認識しております。
 はじめに、本市における学校図書館の図書購入費につきましては、令和4年度実績で、小学校が1,250万円、中学校が784万円でございます。
 また、蔵書数では、令和4年度末で、小学校が29万9,600冊、中学校が17万500冊で、国が定める学校図書館図書標準に対する達成率は、小学校が155.7%、中学校が145.4%となっております。
 次に、小中学校への司書教諭及び学校司書の配置状況につきましては、司書教諭の資格を有する教員が小学校に38人、中学校に26人おり、12学級以上の学校に1人とする国の基準を超えて配置すると共に、会計年度任用職員である学校司書を小学校に20人、中学校に10人配置している所でございます。
 次に、学校図書館における児童生徒一人当たりの貸出冊数につきましては、令和4年度実績で、小学校が72冊、中学校が12冊となっており、各小中学校において、児童生徒が読書に親しみ易い環境づくりに努めながら、読書活動の推進に取り組んでおります。
 次に、市立図書館との連携状況につきましては、学校が希望する図書の団体貸出しや、各学校の図書館まつりへの協力の他、市立図書館の見学や職場体験等積極的な連携に取り組んでいる所でございます。
 こうした中、墨俣小学校においては、市立図書館と連携した読書活動推進の取り組みが高く評価され、令和4年度に「子どもの読書活動優秀実践校・文部科学大臣表彰」を受賞しました。
 今後も、学校図書館の充実に努めると共に、市立図書館との連携強化を図り、児童生徒一人ひとりの豊かな学びを支え、健やかな成長を促して参りますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。
 
【教育委員会事務局長】
▼市民会館廃止に伴う跡地について、ご答弁申し上げます。
市民会館につきましては、開館から約55年が経過し、老朽化が著しく、極めて耐震性が低い状況にあるため、今年度末をもって閉館することとし、来年度及び令和7年度に解体を予定しているところでございます。
 市民会館の跡地につきましては、当面の間、隣接する市民プール駐車場として活用してまいりますので、売却の予定はございません。
 また、今後の跡地利用につきましては、地域住民の皆様をはじめ、市民の皆様のご意見を伺いながら検討して参りますので、ご理解賜ります様お願い申し上げます。
 
【生活環境部長】
▼解体工事に伴う事前周知のルール化について、ご答弁申し上げます。
 建物の建築や解体に伴う騒音、振動の問題は、近隣住民の生活環境に影響を及ぼす重大な問題であり、特に解体工事に伴う重機の使用による騒音や振動については、様々なご相談をいただいております。
 このため、建物の解体工事等、著しい騒音や振動が発生する特定建設作業につきましては、騒音規制法及び振動規制法に基づき、市への届け出が施工事業者に義務付けられており、昨年度は、90件の届出がございました。
 しかし、この法律には、近隣住民の方々に対して、あらかじめ工事の概要や期間等を周知する規定はなく、また、小規模な解体工事につきましては、届出の必要はございません。
 近隣住民と施工事業者とのトラブルを避けるために、騒音や振動の防止対策等を施工事業者から事前に近隣住民へ説明する事は、大変有意義であると認識しており、これまでも届出の際には、説明のお願いして参りました。
 さらに、今回の事案を受け、施工事業者向けに、解体工事等に伴う近隣住民への事前周知を啓発するチラシを作成し、現在、各種届出の際に配布する他、市ホームページへ掲載する等、幅広く周知しております。
 今後とも、市民の安全・安心を守るため、解体工事等の事前周知の啓発に努めて参りますので、ご理解賜ります様お願い申し上げます。

【まとめ】
▼ただいまは、それぞれご答弁いただき、ありがとうございます。
「国保データベースの活用によるフレイル予防について」ですが、先月発行の広報おおがき11月15日号に「令和4年度介護保険事業の執行状況」について、詳細な内訳を掲載していただきました。これによりますと、令和4年度介護保険給付費の支出は132億5,371万円とのことで、前年度より約1億円増加しました。市民のみなさまはこの数字をどのように受け取られたでしょうか。2040年には187億円に上ると推計されておりますし、9月議会においては、「2040年には、要介護・要支援認定者数が1万152人、認定率が21.5%に達する」とのご答弁でしたので、本市としては、今後も一層、健康寿命の延伸に取り組んでいく必要があると考えます。
 そうしたなか、健康寿命延伸のための取り組みとして、今年5月から11月にかけて「お風呂deリハビリ」という介護予防教室が上石津老人福祉センター「悠楽苑」で開催されました。毎回10人から20人の方が参加され、浮力と水圧を利用した浴槽内でできるストレッチを学ばれました。私も何度か参加して体験させていただきました。そのほか、本市では「お買いものdeリハ」「笑・話・歯動場」などのさまざまな介護予防事業がありますが、それぞれどのくらいの効果があったのか、介護費用の抑制に繋げられたか、ずっと気になっていたのですが、「お風呂deリハビリ」で講師を務められた理学療法士さんが千葉大学予防医学センターが開発した高齢者の要支援・要介護リスクを測る評価尺度を使って算出したとの新聞記事を目にしました。それによりますと、この介護予防教室への参加で要介護者になるリスクは低下し、今後6年間で市の累積介護サービス費が1人当たり5万3720円抑制できるものであると試算されたとのことでした。
 私も試しにこの評価尺度を使って、高齢者人口が約6万6千人の本市で、仮に現在よりも5%ポイント、つまり要支援・要介護リスクが3,300人縮小した場合に6年間でどのくらい累積介護サービス費が縮小できるか計算してみたところ、あくまで机上の計算ですが、約3億円の介護サービス費を縮小する可能性があることがわかりました。
 「お風呂deリハビリ」は開催初年度で実験的な要素があったということもあり、実施回数や参加者もそれほど多くはありませんでしたが、来年はさらに多くの方にご参加いただき、より多くのデータを集め、効果を分析していただければと思います。また、本市のさまざまな介護予防事業について、参加者ごとの経年的な追跡調査データをKDBシステムと紐づけなどして活用することはできないものでしょうか。もしできるとなれば、一層、要介護認定のリスク低下のための政策立案に役立つのではないかと思います。ひいては、現在約132億円という本市の介護保険給付費の圧縮にもつながると考えます。
 行政にはEBPMつまりエビデンスに基づく政策立案の推進が求められています。政策効果の測定に重要な関連を持つ情報や統計等のデータを活用したエビデンスに基づく政策立案の推進は、政策の有効性を高め、市民の行政への信頼確保に資するものではないでしょうか。
 政策立案を経験だけに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠に基いて行うべきであると思います。
 データヘルス改革とでも言って良いかと思いますが、健康、医療、介護分野のデータを相互に繋げることによってより効果的な介護予防施策とし、介護保険給付費だけでなく医療費を抑えることにも繋げていただきますようお願いいたします。
 
▼学校図書館についてですが、学校図書館は、社会のデジタル化が進み、多くの情報が氾濫する現代においては、読書する場所、本を借りる場所としての機能だけでなく、「学びのプラットフォーム」としての活用、つまり、情報を正しく見極め活用する能力を身につける「探求学習の場」としての役割が高まっています。
 さて、本市の令和4年度図書購入費は、小学校が1,250万円、中学校が784万円とのことでした。昨年度の小学校児童数は8,233人、中学校生徒数は4,065人ですので、1人当たりの図書購入費は、小学校が1,518円、中学校が1,928円という計算になるかと思います。参考までに、読売新聞の記事によると、岐阜市は小学校957円、中学校1,421円だそうです。子どもの読書環境を整えることは、未来への投資であると考えます。図書館で出会った一冊の本が、心に深く刻まれ、人生に大きな影響を与えるかも知れません。引き続き、図書購入について充実した取り組みをお願いいたします。
 学校司書の配置状況については、小学校で20人、中学校で10人ということでした。ほぼ1校にひとり学校司書が配置されているとのことでした。文部科学省の調査で、学校司書の配置は全国で69.1%となっておりますので、本市においてはしっかりと配置されていることがわかり安心いたしました。雇用形態については、全国学校図書館協議会の調査では85%が臨時職員や嘱託職員だそうです。本市においても、学校司書はすべて会計年度任用職員とのことでした。待遇が十分でないため職業として選びにくいという声もあります。国は「学校図書館整備等5か年計画」で、学校司書配置にも地方交付税を交付しています。経験値のある熟練した司書の採用はなかなか難しい面もあり、かといって、学級担任などで多忙な司書教諭が図書館業務に集中するのも難しいと思います。図書館は手をかけないと荒れてしまいます。学校司書に期待される役割は大きく、子どもの学びの質に直結すると思います。学校司書の存在が教員の負担を軽減することにつながるとも考えられますますので、学校司書の人材確保及び育成についてもしっかりと取り組んでいただきますようお願いいたします。
 先日、赤坂小学校の学校図書館を見学させていただくことができました。結論から申しますと、とても感激しました。学校司書の方の図書館愛がすばらしく、見事に「図書館ワールド」に引き込まれてしまい抜け出せなくなるほどでした。随所にさまざまな工夫が見られ、学校司書としての長年の集大成のような取り組みを見せていただくことができました。市内の学校司書同士で情報交換や研修する場などを設けて、良い取り組みなどは市内全小中学校に広めていただけると良いのではないかと感じました。
 市立図書館が小学校と連携した取り組みについても、一昨年、墨俣小学校で見学させていただきましたが、本当にすばらしく、「文部科学大臣表彰」受賞は大変喜ばしく思います。
 本はなくても生きていけますが、あれば必ず豊かな人生をおくることができます。子どもたちが、代本板を片手に学校図書館に通い、「本って良いものだなあ」という思いを心のどこかにもって、すばらしい大人になって欲しいと願っています。
 
▼「解体工事に伴う事前周知のルール化について」ですが、啓発チラシを作成していただいたとのことでした。窓口にご相談に伺った後、さっそく作成していただいたものと理解しております。迅速な対応、誠にありがとうございます。
 まだ、啓発チラシの現物を見ていないので何とも言えませんが、「住民に対しては対面による説明が、まず原則で、必要に応じて住民説明会を行っていただくよう啓発していただきたいと思います。また、きちんとした説明をしたという報告書を市役所担当課に提出していただけるようなルール」となっていれば良いなと思います。
 今回、啓発チラシを作っていただいたことは、本市にとって大きな一歩だと思います。これ以上、同じようなトラブルが起きないことを祈念しておりますが、参考までに、大阪府寝屋川市には、「建築物の解体工事における事前周知等に関する指導要綱」というものがありますし、また、神奈川県横須賀市は、さらに踏み込んで、「建築物の解体等工事に伴う紛争の未然防止に関する条例」を制定しているそうです。建設工事に関するトラブルは後を絶ちません。今後も引き続き、解体工事はもちろんその他の建設工事に伴うトラブルを未然に防止できる取り組みについて研究していただきたいと思います。
 また、来年度以降、さみしいことですが市民会館の解体工事が予定されているとのことです。当然のことながら、近隣住民への説明会などはもちろん開催していただきたいですし、「知らないうちに工事が始まった」というようなトラブルのないように進めていただきますようお願いいたします。
 
▼さて、冒頭に紹介した「希望の国エクソダス」には、物語の中に、実名で故坂本龍一さんが登場しています。坂本龍一さんというと、生前、神宮外苑の再開発問題への取り組みをされておられました。再開発の詳細は秘密になっていたのか周知が不十分だったのかわかりませんが、とにかく住民にはうまく伝わっていませんでした。住民からすれば、サザンオールスターズの曲ではありませんが、「知らないうちに決まっていた」ということになります。仮にですが、行政が公表したあとに、「もう決まったことだから」と市民の声を突っぱねたとしたら、もはや民主主義の危機であります。
幸い、本市におきましては、さまざまな行政課題について、市民やわれわれ議会にきちんと情報を提供していただき、声に耳を傾けていただいているかと思います。
 さて、本日、「市民会館跡地については売却の予定はない」というご答弁いただくことができました。市民会館跡地は決して安井地区だけのものではなく、広く市民のみなさんのために有効活用していただくための大切な市有地であります。活用方法についてはいずれ機が熟するときが来ると思っています。
 「正しいという字は、一つ止まる」と書きます。どうか何事も一つ止まって判断していただきたいと思います。性急に事を運ばず、じっくりと市民のみなさまに寄り添いながら声を拾い、今後、活用方法についても検討していただきたいと願い、私の質問を終わらせていただきます。




 

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