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令和5年3月議会(一般質問)

2023年3月13日月曜日活動記録

3月13日(月)、一般質問をさせていただきましたので、長文ですが掲載いたします。

今回の一般質問】
①市民会館の跡地利用について
②大垣市福祉施設等奨励助成金について

◆大垣ケーブルテレビ録画放送日
3月16日(木)12:00~、18日(土)17:00~


【質問】
▼自民党緑風会の種田昌克でございます。それでは、通告に従いまして、3件ご質問いたしたいと思います
▼1件目「市民会館の跡地利用について」お伺いします。
▼市民会館は、昭和43年に建設され、1,394人の観客収容が可能なホールを中心に文化イベントや市民活動の発表などの会場としてこれまで55年間にわたって活用され、市民に親しまれてきました。私も、こどもの頃は、近所に住む同級生とそこで遊んだり、ときには課外授業で学校からみんなで歩いて市民会館へ行き、お芝居や音楽を鑑賞したりしました。また、市民会館にあった結婚式場でバイトさせていただいたり、第九を歌う会にも参加させていただきました。市民会館にはいろいろな思い出が詰まっております。このように、市民のみなさんのなかには、思い出のある方は多いかと思います。
▼しかし、この市民会館も老朽化が進み、耐震基準も合わなくなったということで、令和5年度末に廃止し、令和6年度から解体されることとなりました。
市民会館には、本市では唯一の1000人規模のホールを持ち、サービスセンター機能や各種選挙の投票所、また災害時における避難所としての役割も担っています。
▼地域の人からは、ときおり、「市民会館の跡地はどうなるの?」「もう市役所はどうするのか決めてるんじゃないの?」という不安と言うか心配される声を耳にします。そこで、安井地区センターに、「市民会館跡地利用に関するアンケートBOX」を設置させていただき、地域の方の声を拾ってみましたので、ご紹介させていただきたいと思います。
▼市民会館跡地について①新たな施設を建設する、②公園にする、③企業誘致する、④その他のなかから回答を求めた結果、①の新たな施設を建設して欲しいという声が多く、具体的には、「15万人都市にふさわしい施設が欲しい」でも、「音楽にもそれ以外にも使えるような中途半端なものは、結局税金の無駄になるのでやめてほしい」「大垣で本物の芸術に触れられるようなホールが欲しい」「ミュージカルやオペラができるホールが欲しい」など、新たな劇場施設を望む声がありました。現状において、市民会館のある場所は、「第一種住居地域」であるため、取り壊したあと劇場は建てられませんが、あくまで市民の声として紹介いたします。その次が公園にしてほしいで、具体的には、「安井地区には大きな公園がないので散歩ができる公園が欲しい」などのご意見がありました。③の企業誘致するを選択した人はゼロでした。④その他は若干名ありましたが「もう箱モノはいらない」というご意見などでした。
▼そのほか、アンケートにご協力していただけた方は、安井地区センターを利用している方のごく一部の方に過ぎません。おそらく、市民のみなさまからすれば、もっとさまざまなご意見があるだろうと推測いたします。
▼そこでお尋ねいたします。本市においては、市民会館の改築は見送り、廃止するとの方針を打ち出されていますが、また今後、市民会館の跡地利用についてはどのように進めて行かれるのでしょうかお尋ねします。
▼2件目「福祉施設等開放奨励助成金について」お伺いします。
▼本市には、約500の自治会があります。一定の地域に住む人たちが中心となって、日常的な親睦や交流を通じて地域の連帯感を高め、安全で安心な住みよいまちづくりを進めようと、自主的に組織された団体で、生活環境の整備や福祉の向上、防犯、防災など、暮らしていく上で生じるさまざまな問題を解決するため、力や知恵を出し合い、協力し合いながら、さまざまな活動に取り組んでおられます。
▼令和4年4月1日現在。住民加入率は74.45%です。平成25年度は78.74%、令和2年度は75.35%でしたので、加入率は、年々減少傾向にあります。自治会へ加入されない人が増えている背景には、さまざまな理由があろうかと思いますが、自治会に加入しない人が増えると、地域のつながりが弱くなり、個人や家庭で解決できない問題や、地域の課題を解決することが難しくなることが心配されます。
▼自治会活動は目に見える効果だけでなく、日常の交流を通じて、いざという時に助け合える関係をつくり、安心して生活できる社会基盤につながる大切な役割を果たしています。
そういう意味で、自治会というのは地域にとって非常に大切な組織であるわけですから、本市としても、自治会に対して最大限のバックアップ、支援をしていくべきだと考えます。
▼さて、こうした自治会活動をしていくには何といっても活動拠点が必要となります。地区センターで活動されているところもありますが、活動拠点として「集会所」を所有している自治会が多いかと思います。こうした地域の方々が気軽に集まれる集会所は、地域コミュニティにおいて重要な役割を果たしております。
▼集会所については、日常的な維持管理は自治会が行っておられますが、どうしても、経年劣化など物理的に傷んでくることがあります。
▼そうしたことに対応するため、本市では、「大垣市福祉施設等奨励助成規則」に基づき、自治会が所有し、無料開放する集会施設の新築、増築、改築等にかかる工事費と集会施設用地の取得費の一部を助成する制度があります。助成額の算定方法は詳細に決まっていて、大まかには、新築する場合は限度額600万円、土地の取得には取得額の2分の1かつ限度額600万円まで、改築等には、経費の4分の1、限度額300万円まで助成されます。自治会にとっては、とてもありがたい制度であります。
私の自治会の集会所でも、建物が壊れたりとか、白アリが出たりとかで、本市の「福祉施設等開放奨励金」を活用して修繕費用の一部を補助していただき大変助かった記憶があります。
▼ところが、ちかごろ、いくつかの自治会から、市に助成してもらおうと申請しても認められないという嘆きの声を耳にするようになりました。どうして認められないのか。
その理由を聞くと、集会所が神社の敷地内、玉垣の内側にあるから認められないのだそうです。
私の住む自治会の集会所も、神社の敷地内にありますし、お隣の自治会も神社の敷地内に集会所があります。またその隣の自治会も同様です。見渡してみると、市内には、かなり多くの集会所が神社敷地内にあることがわかります。
▼そこでお尋ねいたします。ということは、今後、集会所の修繕や、バリアフリー改修などをしようと思っても、市から助成してもらえないということでしょうか。まずそれが1点目。
▼2点目、これまでに神社玉垣内にある集会所でも、補助金をいただいたケースがあります。さきほどの私の住む自治会もいただいておりますが、それはなぜでしょうか。その後、基準が変わったのでしょうか。
▼3点目、申請があれば地域住民の声に耳を傾け、現場の実態を踏まえて補助金交付の可否を丁寧に判断していくべきだと思いますがいかがでしょうか。お尋ねします。
以上、1回目の質問を終わります。

【答弁】
(石田市長)
▼市民会館の跡地利用について、ご答弁申し上げます。
市民会館は、昭和43年に開館し、これまで、文化芸術イベントや市民活動の発表などの会場として、利用されてきたところでございます。
▼しかしながら、開館後、約55年が経過し、老朽化が著しく、極めて耐震性が低い状況にあり、利用者の危険回避が喫緊の課題であることから、令和3年度に庁内プロジェクトチームで検討した結果、早期に廃止することとし、昨年の12月議会におきまして、市民会館の廃止につきまして、議決をいただいたところでございます。
▼また、今議会に、解体に向けた設計に関する令和5年度予算案を提出させていただいており、令和6年度及び7年度に解体を予定しております。
▼次に、解体後の用地の活用につきましては、用途地域などの諸条件を踏まえながら、全庁体制で、慎重に検討してまいります。
▼また、市民会館の廃止・解体に伴い、市民会館サービスセンターや、各種選挙の投票所などの移転等につきましても、適切に対応してまいります。
▼今後も、「大垣市第2次教育振興基本計画」に基づき、市民の誰もが質の高い文化芸術を享受できるよう、文化振興に努めてまいりますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。

(健康福祉部長)
▼大垣市福祉施設等奨励助成金について、ご答弁申し上げます。
▼本市では、市民の皆様の地域福祉活動を推進するため、大垣市福祉施設等奨励助成規則に基づき、集会所等の整備費の一部について助成を行っております。
▼この制度の助成率及び限度額につきましては、新築は2分の1で600万円、増築は2分の1で300万円、改築等は4分の1で300万円としており、土地取得費につきましても新築と同様の助成内容としているところでございます。
▼はじめに、集会所におけるバリアフリー化への助成につきましては、大垣市福祉施設等奨励助成金を活用し、トイレの洋式化や玄関の段差解消、手すりの取り付け等の工事を行っていただくことが可能でございます。
▼次に、神社敷地内にある集会所への助成につきましては、最高裁の判例も出ておりますので、適切に対応しております。
▼次に、助成金交付の審査につきましては、事業内容のほか、立地条件や利用目的なども詳細にお聞きしたうえで、必要に応じて現地確認を行い、丁寧に対応させていただいております。
▼今後とも、より一層、市民の皆様に寄り添いながら、地域福祉活動の拠点である集会所等への整備支援に努めてまいりますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。

【まとめ】
▼ただいまは、それぞれご答弁いただき、ありがとうございます。 
市民会館の跡地利用について、未来に生きるこどもたちに代わって、また、これから大垣に生まれてくる人たちの代弁者として述べさせていただきたいと思います。
▼私には、大垣が失ってしまったもので、いまの時代に残っていればなあと思うものが3つあります。ひとつは、焼失前の大垣城とお堀、ふたつめは、堀田、三つめはお鳥屋敷です。
明治期において、大垣城の鉄門は売却され、お堀は埋め立てられました。ずっと昔の出来事ですから、現代を生きる私たちに売らないで!とか埋めないで!とノーということはできませんが、もしその時代に生きていたら、きっとノーと叫んでいたと思います。
▼郷土館に「お鳥屋敷絵物語」という巻物が展示されています。大垣市文化財審議会委員を務められた藤井康司(こうじ)さんが昭和59年に書かれたものです。大正時代の子どもたちがお鳥屋敷の塀の中を覗こうとしている絵と物語が描かれております。藤井さんはこう書き残しています。「60年前まであったこの屋敷を思う。現代まで保存されて残ったとすれば、わが中部日本では第一級の大垣市として誇り得る文化財である。夏季の長良川の鵜飼いと冬季の御鳥屋敷、世界中の観光客を寄せているかもわかりません。」とあります。いまとなっては、私たちは想像のなかでしかみることができません。しかし、本市にはまだまだ多くの文化財が残っています。
▼そこで、市民会館が取り壊されても、ロビーにある矢橋六郎さん制作の大きなひまわりが印象的なモザイク壁画「花の如くに」は保存していただきたいと願っております。市役所旧庁舎ロビーにあったモザイク壁画「西濃の四季」はこうして移設していただき、われわれ議会をいつも見守ってくれています。ぜひ、市民会館のモザイク画の保存もお願いいたします。
▼また、市民会館跡地利用についてですが、林業を生業としている人は、木を切るだけでなく、切った分だけは若木を植えておられると聞きます。人づくりと同じで、木が立派に成長するのは何十年か後となりますので、植えた本人はその木がどのように育ったのか知ることはできませんし、育った木を切って収益を得ることもできません。しかし、次の時代の人たちのために植え続けます。私は、市民会館を取り壊した後のまちづくりが大切だと考えております。つまり、林業と同じように、若木を植えるような施策が大切なのではないかと思うわけです。どのような若木を植えるのかは、地域の皆さんといっしょになって考えていかなければなりません。植えた若木がどのように育ち、未来の方々にどのように喜んでいただけるのかを見ることができるかもしれないし、できないかもしれませんが、それがわれわれに与えられた使命だと思っております。ぜひ、市民のみなさまの声を丁寧に拾っていただき、跡地利用について一緒に議論していただきたいと願っております。 
▼次に、福祉施設等開放奨励助成金について、ですが、「助成については適切に対応している」とのご答弁でした。
▼毎回この一般質問の内容を自分なりに考える際に、悩み、逡巡いたします。それはどうしてかというと、取り上げようとする内容が、果たして、一般質問にふさわしい内容かどうか。質問をすることによって、本当に市民のみなさまのためになるのか、「北風と太陽のはなし」のようになりはしないかと自問自答いたします。今回も、悩みながら2回目の発言をさせていただきます。では、先ほどのご答弁で「最高裁の判例」という文言も出てまいりましたので、それを踏まえて、私自身の考えや提言を申し上げたいと思います。 
▼まず、憲法20条3項では「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」とあり、宗教団体に特権を与えることは禁じられております。また、89条でも宗教上の組織や団体に公金を支出することが禁止されています。
▼こうした国家と宗教を切り離して考えるべきであるとする原則のことを「政教分離の原則」といいますが、いくら政教分離とはいっても、国と宗教が一切の関わりを持たないとすることは、不可能といえます。例えば、普通の私立の学校や保育園、幼稚園は助成を受けられて、ミッション系や仏教系は受けられないというのは誰が考えても不都合です。そのため、どこまでなら良くてどこからがダメなのかという基準が必要になるかと思います。
▼こうした政教分離原則の判断基準として「目的効果基準」という基準が用いられており、判例としては、昭和52年の「津地鎮祭事件」判決が有名です。すなわち、「その行為の目的が宗教的意義を持ち、かつ、その行為の効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為」にあたるかどうかが、判断基準になります。
▼先ほどの答弁でいわれた最高裁の判例というのは、平成22年の「空知太神社訴訟」判決のことだと思います。この判決では、目的効果基準を用いず、「宗教との関りが相当とされる限度を超えるかどうかという観点から、事案に応じて判断基準を使い分ける」手法がとられました。「相当とされる限度」とは何でしょうか。かなり抽象的な判断基準だと思います。
▼この判例は、北海道砂川市が、ある自治会に市有地を無償で使用させ、その土地内に神社と鳥居、集会所が設置されていたことが問題となったものです。最高裁は、この市有地の無償提供行為を違憲としましたが、その後始末に悩んだのではないでしょうか。つまり、違憲状態をどのように解消すればよいのかということです。具体的には、ふたつの方法が考えられます。
▼ひとつは、「自治会に対して神社等の施設を撤去して、市有地を返還するように要求すること」ですが、それでは氏子集団の信教の自由を損ないます。政教分離がそもそも信教の自由の保障のために規定された制度だとする基本的な考え方からするとありえない解決方法です。
▼もうひとつは、「自治会に対して問題の市有地を譲与すること」ですが、そうすれば、氏子集団の信教の自由は守られますが、しかし、この方法を採った場合には、特定の宗教に対する援助、助長、促進にあたり、やはりありえない解決方法だと思います。
▼ということは、空知太神社事件で示された判断の物差しは、政教分離原則と信教の自由が相剋するような、つまり政教分離を貫き通すと信教の自由がかえって損なわれてしまうような場面で、信教の自由を守りつつ、政教分離原則違反を解消するという特別な状況のときに用いられるものだといえそうです。
▼こうしたことから、国の行為について宗教性と世俗性が同居しているケースは、今後もやはり目的効果基準が用いられると推測できます。となると、助成金の対象が、神社の神殿そのものであれば政教分離の原則から公金を支出することは難しいかと思います。しかし、神社の敷地内に集会所があるけれども、そこは広く地域住民が寄合所として利用している。神社に関することといえば、神主さんが着替えをする、お神酒をつくるなどの世俗的な利用しかされていない。玉垣のなかにあるけれども宗教的な色彩はないといった場合は、違った判断がなされるような気がします。こうした場合、宗教との関りが相当とされる限度を超えているといえるかどうか、ぜひ学者や法律家の見解をお聞きしたいところです。もしかしたら、助成金の交付が可能なケースもあるのではないでしょうか。このままだと、修繕したくてもできない集会所が増えていき、極端な場合、災害時の避難所、地域コミュニティの活動場所が危険にさらされることにもつながろうかと考えます。ぜひ、憲法学者や法律家の先生にお尋ねいただけたらと思います。
▼それと、もう1点。一般財団法人自治総合センターが実施する「コミュニティセンター助成事業」という制度があります。この助成制度は、地域の皆さんが自主的に行うコミュニティ活動に直接必要な施設の整備に対し、宝くじの社会貢献広報事業として助成金を交付する制度です。
住民の行う自主的なコミュニティ活動を積極的に推進し、その健全な発展を図るため、住民の需要の実態に応じた機能を有する自治会集会所の建設整備等に関する助成事業です。令和4年度は、全国で2,778団体、計約68億円の助成金が交付されました。
▼私は、この助成事業をもっと本市の自治会に周知していただけると良いかと思っています。なぜかというと、先ほどのような理由で、市の助成対象として微妙なケースなどにおいては、とりわけ有効な助成事業だと考えます。「令和5年度の助成事業実施要綱」を読みましても、主体が、一般財団法人であり、国や県、市ではありませんから、神社敷地内の集会所に関する取扱いなどの特記事項は明記されておりません。
ぜひ、市民の利便性向上のために、広く周知していただき、市と助成金と両輪で活用していただくようにお願いしたいと思います。
▼最後に、コロナ禍が終息に向かい、これから、各地域においては、以前のように様々な活動が活発化していくことを願ってやみません。それは、職員の方も同じ気持ちだと思います。また、法と市民の暮らしの向上の狭間で、市民の立場に立って、できる限りのことをしようと悩みながら仕事をされていることと推察いたします。ですから、今後とも、申請があれば、機械的に判断せずに、地域に足を運び、柔軟な姿勢で、住民の声に耳を傾け、寄り添い、現場の実態を踏まえて補助金の交付の可否を丁寧に判断していただきたいと願っております。今回の私の質問が北風でなく太陽、大きなひまわりとなることを願って、私の質問を終わります。



 

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