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パロディにしてよいの

2022年10月9日日曜日雑感

▼9月23日付けの本ブログで「ヘルプマークサポーター研修」のことを書いたばかりですが、またヘルプマークのことについて書きます。
▼2枚の写真があります。右と左とどちらがヘルプマークでしょうか。右は私の息子が使っているヘルプマーク。左は椎名林檎さんのアルバムを買うともらえるというパロディグッズです。これがヘルプマークや赤十字マークに酷似しているのではないか、類似したデザインのグッズが出回るとヘルプマークが何かのグッズと誤認されたり、混乱を招いたりする恐れがあるのではないかと問題になっています。
▼2012年にヘルプマークを最初に考案・導入した東京都のHPによると、ヘルプマークとは「義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなる」ためのマークと書かれています。
▼ヘルプマークは、まだまだ認知度が高いかと言うとそれほどでもありません。東京都の都政モニターアンケートによると、「意味を知っている」59.0%、「見たことや聞いたことはあるが詳しい意味は知らない」24.2%、「知らない」16.9%という結果が出ています。
▼このグッズは、ヘルプマークを引用してのパロディとして作製されたものだとすぐに理解できます。そしてヘルプマークの意味や役割も理解した上で、その意味を意図的に「面白く読み違えて」デザインされていると思います。しかし、アンケート結果からしても、そもそもこれがパロディとして作られたものであることも知らない人も多いと思います。現実の社会で何らかの誤解を生み、混乱を招く可能性は否定できません。例えば、ビルなどの建物にある緑色の「避難口誘導灯」そっくりの照明器具をパロディアートとして作って、適当なところに設置したらどうなるでしょうか、考えるだけで怖くなります。
▼もし、健常な方がこのパロディグッズをカバンなどに付けていて、電車内で席を譲られたり、声をかけられたりしたら、その方も困惑してしまうのではないでしょうか。そして、声をかけた方が、かえって気まずく思い、次から声をかけづらくなってしまうようなことが起こらないとも限りません。
▼このグッズは、実際にヘルプマークを必要としている人々や、そのことに理解を示している多くの人々に対し、冷や水を浴びせる行為だと思います。見た目がそっくりで関係のないものを流通させることは、そのような社会の動きを茶化すことにつながります。このグッズは椎名林檎さんのイメージも傷つくし、もらって使った人も、本物のヘルプマークを使っている人にも誰にも良いことはないと思います。このグッズはすばやく回収した方が良いのではないでようか。

 

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