人生100年時代のまちづくり
2022年9月27日火曜日まちのこと
▼厚生労働省は、全国の100歳以上の高齢者が、過去最多の9万526人と発表しました。9万人を超えるのは初めてのことです。女性が8万161人と9割近く、男性は1万365人で、最高齢は115歳の女性とのことです。
▼これまで多くの日本人は、「20年学んで40年働き、残りの15年を年金で暮らす」という人生設計を持っていました。寿命が延びることは悪いことではありませんが、その設計を書き直す必要が出てきます。定年後の長い人生をどう資金繰りをして、どう暮らし、どう楽しむのか、市民一人ひとりがそれぞれ考える時代が訪れようとしています。
▼2007年に日本で生まれた子どもは107歳まで生きる確率が50%あるそうです。しかし、日本人の寿命はどんどん延びているのに、設計の「書き直し」がまったく追いついていないような気がします。
▼2008年をピークに日本の総人口は減少局面に入り、現在、少子化による急速な人口減少と高齢化に直面しています。団塊世代が生まれた当時、年間260万人の出生数は現在94万人に、2040年には74万人にまで減少していきます。過疎化と高齢化が大きな課題になってきます。
▼こうした状況のなか、自治体は持続可能なかたちで住民サービスを提供し続ける必要があります。これまでの人口増加を前提とした制度や運用は見直す必要がありますし、人口減少時代にあった、新しい社会経済モデルを検討していかなければなりません。自治体はフルセット主義を排し、圏域単位で住民サービスを補完しあい、連携していくことが重要だと思います。インフラはどんどん老朽化し、無秩序な空き地や空き屋が増えることで、DID(人口集中地区)面積が縮小しまち全体の衰退を招きます。まちの機能を確保するため、一定の集積を維持していくことが必要となります。ビッグデータ等を活用しながら、災害に強く、将来にわたり健康で長生きできるまちを作っていかなければならないのではないでしょうか。先般の9月議会一般質問でも発言させていただきましたとおり、重要なのは、行政だけでやらないこと。民間、市民を巻き込んで、みんなで一緒に創りあげていくことが必要だと考えます。
▼人生100年時代の働き方や学び方について考えると、高寿命化による人生100年時代はいつまでも元気で働くことができ何度でも転機とチャンスが訪れる時代というふうにポジティブにとらえることもできます。そのためには、昔取った杵柄で働き続けることは難しく、長く豊かに働くためには、いくつになっても"学び直し"が必要な時代になってきています。私は、これまでの人生において、10代、20代、30代、40代とすべての年代で大学に通い学びました。そこでは、何人もの私より年上の同級生に出会い刺激をいただき、私自身もいつも新たな発見をし、そこで学んだことはいつも役立っています。
▼そのような経験から、これからの自治体にはより社会教育の推進が求められていると思いますし、社会教育の役割はこれからの時代にはとても重要になってくると思います。大垣市の場合、教育委員会部局には、子どもから大人までの義務教育から社会教育までを担う部署があります。これまでは、教育委員会と言うと小中学校教育にかなりの力が注がれてきたような感もありますが、人生100年時代を見据えた長期的で広範な視点にたった政策が求められていると思います。今後の地域間競争の争点になるような気がしてなりません