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健康で文化的な最低限度の生活

2021年6月23日水曜日本棚

▼夜中に眠れずに、何気にEテレをつけたら、「浦沢直樹の漫勉neo」という番組がやっていて、漫画家の柏木ハルコさんが出演していました。私は、この番組を偶然観て、初めて柏木ハルコという漫画家も、『健康で文化的な最低限度の生活』という漫画も知りました。なんでも、かなり有名なマンガで、数年前にはテレビドラマ化もされたとのことです(知りませんでした!ごめんなさい)。
▼番組を見終わって、すぐにアマゾンで全巻(10冊)発注。翌日には届いて2日で読破しました。ストーリーは、区役所に就職した主人公が、いきなり新人ケースワーカーとして生活保護業務を担当し、生活保護受給者と日々接して人の生死に関わるハードな日常を描いた作品です。題名は、お分かりの通り、日本国憲法第25条第1項の条文「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」から採られています。
▼100人いれば100通りの人生があります。作品では、子どもの貧困、ホームレス、貧困ビジネスなどが取り上げられます。この本に書かれてあることは他人ごとではなく、生々しい現状が伝わってきて、非常に訴えかけられるものがあります。涙する部分もあります。日本の現状を美化せずに、こうやって漫画という読みやすい形で伝えているところが素晴らしいと感じました。
▼生活保護というと、惨めな印象をお持ちの方もおられるかも知れません。この作品に描かれている話は、実際に私たちの身の回りで起きていることだと思います。そして、見なくてはならないけど、目を背けたくなる現実です。それをしっかりと描いています。また、生活保護受給者の実態とともに、地方自治体職員がこのような気持ちで、日々の公務に取り組んでいることも知っていただけるかと思います。
▼私は、市役所職員時代に生活保護を担当したことはありませんが、市税の滞納整理の担当を4年ほどさせていただいた経験があります。市税を滞納される方は、何らかの理由で税を納めることができず、生活に困窮していることがあります。実際に、生活保護受給開始となるケースもあります。共通して言えることは、その人の人生そのものにかなりの部分まで入っていかなければならないということ。他人事でなく自分事として対応しないと、相手の心は決して開かないということです。私は市役所で、滞納整理の現場において、失敗やら成功やらいろんな経験をさせていただきました。このマンガを読んで、共感したセリフがいくつかあります。私も現場にいたころに、同じことを感じましたので紹介させていただきます。

「人の住まいを見るということは・・・人の暮らしを見るということです」
「ちゃんと生活できているか 何か困っていることはないか・・・訪問でしか見えないこともあります」
「本人の話をじっくり聞くこと。まずはそこからです。」


▼重いテーマを扱っていますが、この作品は最高です。本当に良い教科書です。たんなるマンガではありません。ぜひ多くの人に読んでもらいたい作品だと思いました。
⇒私の事務所に全巻ありますので、お立ち寄りの際には、ぜひお手に取り下さい!

福祉事務所ケースワーカー
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/130
 

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