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映画「ニューヨーク公共図書館」を観て

2019年7月27日土曜日まちのこと

▼少し前に(7/5)に『ニューヨーク公共図書館エクス・リブルス』という映画を観てきました。ドキュメンタリーの巨匠フレデリック・ワイズマン監督の第41作で3時間以上の大作です。
▼本作の主役は荘厳な建築で知られる世界最大級の知の殿堂ニューヨーク公共図書館です。この図書館は市民の生活に密着した存在となっており、映画の中で紹介されているさまざまな取り組みは、これまでの図書館のイメージを打ち壊し、私たちを驚かせます。
▼図書館で働く女性は、「図書館は本の置き場ではない。図書館とは人。さまざまな人が集うハブのような役割があり、教育の場でもある」「かつて“未来に図書館は不要”と言われた。彼らは図書館の進化に気づいていない」と語ります。隣接する公園で本を読む人々の映像が流れるシーンでは、「文教のまち大垣にこんな図書館があったら!」と釘付けになりました。また、手話通訳者が、ジェファーソン独立宣言を「怒り」と「懇願」の2通りでの感情で通訳する模様には、同じ言葉でも感情が注入されることにより手話が違ってくることを知りました(ところで、手話にも日本語とか英語があるのでしょうか)。蔵書についても図書館で働く人たちは日々悩み、議論しています。「電子本か紙の本か、ベストセラーか推薦図書か、一般図書か研究図書か。予算は限られている。10年先を考えたとき、ベストセラーは無料ではないにせよ何とか手に入れて読むことができる。しかし、我々が所蔵しなければ手に取ることができなくなる本もある。」こうした図書館ならではのジレンマがあることを知ります。
▼私は4月の大垣市議会議員選挙における公約の一つとして「図書館を中心としたまちづくり」を掲げました。図書館はかつて揶揄されたような無料貸本屋ではありません。24時間貸し出しが可能であったり、自動貸し出し機があったり、ビジネスや法律の相談もできたり、デジタルアーカイブが充実していたり、公共図書館は、地域を支える情報拠点としての施設にシフトし、まちづくりの中核に図書館を据える自治体も少なくありません。年齢や、職業、収入の差別なく、すべての人たちに開かれている無料の公共施設。私たちをより豊かにしてくれる可能性を秘めている場所は図書館だと思います。

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