News・Blog

パチンコ店建設予定地となりに市が図書館(判決)

2019年6月21日金曜日雑感

▼先日、通っている大学院の授業のなかで行政の国賠法事例の話となり、4月にあった国分寺市の裁判事例の話になりました。ご存じない方もおられると思いますので、事例を紹介いたします。
▼東京地方裁判所が国分寺市の前市長に対して、市として約4億5千万円の賠償請求をするように求める判決をくだしたものです。2006年、JR国分寺駅前にパチンコ店が建設されることになり、それを阻止するために国分寺市は「駅前再開発の一環」として、パチンコ店の隣に市立図書館を建設することを決めました。なぜ、図書館をつくることになったかというと、風営法では図書館の敷地から50メートル未満にパチンコ店を設けることを禁じているからなのです。これにより、パチンコ店は出店することができなくなりました。
▼しかし、事はそれだけでは終わりません。パチンコ店を出店できなくなった業者は、「図書館の建設は出店阻止のためで営業権利の侵害である」として、国家賠償訴訟を起こしました。確か10億円以上の損害を請求した記憶があります。東京地裁は業者の請求を認め、その後、市とは4億5000万円で和解が成立しました。(10億円以上を請求されていたのが、4億5000万円で済んだのであれば安いと判断されたのかどうかはわかりませんが、、、。)
▼しかしその後、市が業者側に賠償金を支払ったのは、公金の違法支出にあたるとして市民団体が監査委員に対し、住民監査請求を行いました。そして、今年4月11日に、東京地裁は住民側の請求を認め、前市長に対し4億5100万円を支払うように命じました。
▼昔読んだ『ナニワ金融道』というマンガで、肉欲棒太郎という地上げ屋があるビルを地上げして、そこに風俗ビルを建て儲けようとする話を思い出しました。マンガでは灰原という主人公が風営法の規定を利用し、名目上の診療所をつくり、風俗ビルの計画を阻止するという結末でした。しかし、その後、この手の出店妨害について、最高裁は不法行為を構成するという判決を下しています(最三判平成19年3月20日集民第223号445)。
▼国分寺市の議事録も見ましたが、しっかり「パチンコ店阻止が目的」と言っていますので、「知らなかった」という弁解はできませんね。(№64市長答弁)

国分寺議会議事録
http://www.city.kokubunji.tokyo.dbsr.jp/index.php/4529567?Template=doc-one-frame&VoiceType=onehit&DocumentID=890

TOKYO MX NEWS
http://s.mxtv.jp/mxnews/kiji.php?date=46513754

 

記事一覧

コンテンツを表示するにはJavaScriptを有効にしてください。