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日本遺産「西国三十三所」と祖母の掛け軸

2019年5月21日火曜日雑感

「1300年つづく日本の終活の旅~西国三十三所観音巡礼」が日本遺産に認定されました。日本遺産とは、「地域の文化財の魅力を高め、観光資源として積極的に活用する目的で文化庁が認定」するものです。
▼西国三十三所は、岐阜県揖斐川町谷汲にある谷汲山華厳寺を含む33の霊場を巡る日本最古の巡礼路です。今回は「自分自身が死去した後に観音様の功徳にあずかりたい」という日本人の心に焦点をあて、終活をテーマに他の巡礼との差別化を図った点が評価されたとのことです。
▼このニュースを聞き、47年前に52歳で亡くなった祖母のことを思い出しました。祖母は息子(私の父)の体が弱く歩けなかったのがお不動さん(不動明王)の力で歩けるようになったことから、昭和30年ごろから信仰心がより一層強くなったそうです。私が生まれたのは昭和44年で祖母と一緒に暮らした時間はわずか4年間に過ぎませんが、白装束で巻物を背負って旅に出かける祖母の姿を覚えています。祖母は「四国八十八か所」のお札をすべていただき、それを掛け軸にして残してくれています。また、私が記憶しているのは西国三十三所を巡っているときだったとのことですが、祖母は32番霊場をお参りしたのち、がんで倒れ、最後の33番目の谷汲山華厳寺のみを残して掛け軸を完成させることなく旅立ちました。華厳寺は大垣から一番近いところですので、祖母は何度も参っているに違いありませんが、几帳面に1番から順に御朱印をいただいていたため、最後の1か所だけが空欄の掛け軸となったそうです。祖母の死後、叔母が祖父たちと一緒に掛け軸をもって華厳寺を訪ね完成させました(写真・右)。祖母がもし元気であれば、今年99歳となっていたはずです。こうして先祖によって生かされているのだなと感謝しなけらばならないと感じています。

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