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三世代近居~300mの絶妙の距離感

2019年1月18日金曜日まちのこと

▼私は、自分が生まれ育った家から300mほど離れたところに、妻と子と三人で暮らしています。よく「みそ汁の冷めない距離」といいますが、この例えについて調べてみると、もともとは「スープの冷めない距離」というのがオリジナルのようです。これは、J.シェルドン『The Social Medicine of Old Ages(老人問題解説辞典)』(1948)に出てくる表現だそうです。それが、1988年に、東京都老人総合研究所の心理学研究室が「みそ汁の冷めない距離をどのくらいと考えるか」という調査を行い、この表現が一般化されるようになりました。ちなみに、アンケート結果によると、30~70歳代の人の考える距離は、平均290mということです。まさしく、私は「みそ汁の冷めない距離」に住んでいることになります(笑)。高度経済成長時代に、それまでの伝統的な大家族ではなく、親世帯と子世帯がちょうどよい距離に住む形態がうまれてきました。これが「スープの冷めない距離」です。
▼さて、全国の多くの自治体が「三世代同居推進事業(三世代近居事業)」を進めています。私の暮らす大垣市でも、平成27年度から「三世代同居促進事業」という名称で行われています。H27予算が80万円(決算21万3000円)、H28予算は64万円、H29予算は105万円、H30予算は91万円となっており、必ずしも右肩上がりということではなく増えたり、減ったりといった感じです(決算額が分からないのでまた調べたいと思っています)。
▼この「三世代同居推進事業」についてはとても関心があります。
この事業の趣旨としては、豊かで持続性のある社会をつくるために、人口減少対策を行う。また、家庭内での子育てや高齢者介護など、世代間で支えあうことなどの文化継承が期待できることがあげられると思います。
また、それぞれの世代のメリットとしては、親世代にとっては、子どもと遊ぶことで老け込み防止が期待できる。何よりかわいい孫との時間を共有できる。人生の先輩として頼られるとともに孤立化を回避できる。また、家族間での介護を期待できる。子世代にとっては、育児負担の軽減、共働きによる収入向上、祖父母と子育てをすることによる安心感があげられるでしょう。孫世代にとっても、祖父母と暮らすことは情操教育によく、昔の遊びや生活の知恵を教わることができ、何より年上の人を敬う心を育てることができると感じています。効果としては、まだ明らかではありませんが、①出生率の向上、②高齢者の生きがい向上、③女性就業率の向上、④空き家の減少。地域経済活性化などが期待できると考えています。
▼以上のような、効果をあげるためには、多くの方にこの事業を利用していただかないと話になりません。大垣市も予算額だけ見るだけでも、それほど多くの方に利用していただいているようには思えません。たとえば、祖父母には孫とお出かけできるときに使えるクーポン券(市内施設はタダ、近隣市町施設も割引)、ご苦労さんの意味で数年に一回ぐらい旅行券プレゼントなど、親には祖父母のショートステイ代補助、車いすなど介護用品補助など、孫には誕生日などにすてきな絵本などをプレゼントなども考えてみてはどうでしょうか。当然、三世代同居のために必要な新築、増改築費用の補助、定住空き家利活用補助なども必要です。
▼私自身、週3日ぐらいの割合で、小学生の息子を父母に預けています。息子にとっては、口うるさい?ママから解放され、おじいちゃんおばあちゃんに甘えられること、父母にとっても孫とご飯を食べたりお風呂に入ったりする時間が楽しいようです。300mという距離はそういう意味で、行ったり来たりするうえで絶妙な距離だと感じています。

大垣市「三世代同居促進事業」http://www.city.ogaki.lg.jp/0000021579.html

 

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