防災士が16万人を突破
2019年1月15日火曜日まちのこと
▼毎日新聞夕刊に「防災士取得16万人超」という大見出しが載っていました。
民間資格「防災士」の取得者が、16万1650人に達したとのことです。私が住む大垣市の人口が約16万人ですから、本当に驚きです。
▼防災士とは、NPO法人「日本防災士機構」が認証する資格制度です。15年前、大垣市役所の防災担当をしていた私は、防災士を「防災新聞」という新聞で知り、資格を取ろうとしましたが、当時は東京や大阪など大きな都市でないと取れませんでした。困ったなと思っていたところ、大垣から近い名古屋で講座が開かれるというのでそこで勉強し資格を取得しました。なお、費用は全部で8万円ほどかかりました。
▼その後、防災士をたくさん養成すれば、地域の防災力を向上させることができるのではないかと考え、大垣市独自で防災士を養成したいと思い、補助金制度などを創設しましたが、この補助金制度で防災士になった人は3年間で10人程度だった記憶があります。その後、この補助金制度をやめ、「大垣市防災ひとづくり塾」という独自のカリキュラムで募集したところ、50人ぐらいの方が応募してくださいました。大垣市内でしかも試験料だけで防災士が取得できるというのが良かっただと思います。講師も地震や水害を研究している大学教授、災害ボランティア、被災者で語り部として活動している方、被災地の市長、ラジオアナウンサー、NHKお天気キャスターなどいろんな方をお招きしました。
▼その後、順調に「大垣市防災ひとづくり塾」出身の防災士が数多く誕生し、現在では大垣市だけで500人ほどの防災士がいると聞いています。しかし、その多くは、防災士を取得したものの何をしたらよいのか分からず、資格を取得しただけで終わってしまている方も多いのです。せっかくやる気のある人が防災士を取得したのですから、活用しない手はありません。行政はきちんとフォローアップをしながら、防災士たちと一緒に先の時代の防災士を育てていってほしいと思います。そもそも「塾」にしたのは、江戸時代に大坂にあった「適塾」や「松下政経塾」をモデルにしたもので、塾の卒業生が今度は塾頭になり後進を育てる仕組みを取り入れたかったからです。ですから、募集チラシには「持ち物:志のみ持参」と書かせていただきました。そうした熱い思いを持って、私も阪神淡路大震災から初めた災害ボランティアの経験を塾生にお話しさせていただきました。こういった人を育てる事業は思いのほか手間がかかり、すぐには結果は出ません。すぐに結果を求めたがるのが行政ですが、じっとこらえて、良い人材づくりを目指していただきたいと思っています。最後に、“防災ひとづくり”としたのは、防災士を育てたいからではなくて、あくまで究極的には、防災を通じて人を育てたいと思ったからにほかなりません。これからの防災士の活躍を期待しています。