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日本かぶれのナビ「ピエール・ボナール展」

2019年1月27日日曜日雑感

▼1997年に愛知県美術館で開催された「ボナール展」以来、久しぶりに堪能してきました。ボナールの作品は、決して万人受けするものではないので、今回の展覧会も予想通りそれほど混雑していませんでした(個人的にはもっと注目されてもいいと思いますが)。
ピエール・ボナール(1867-1947)は、ナビ派に分類される19世紀から20世紀にかけ絵のフランスの画家です。ボナールはナビ派の中でも最も日本美術の影響を受け、「ナビ・ジャポナール」(日本かぶれのナビ)といわれました。日本ではあまり知られていない作家ですが、2015年にオルセー美術館で開催されたピエール・ボナール展では51万人が訪れ、2014年にゴッホ展に次ぐ、歴代企画展入場者数第二位を記録したそうです。
▼ボナールには、猫を描いた作品や、恋人のマルトの入浴場面を描いた作品が多いですが、私は日本画や浮世絵の影響を受けた初期の作品が気に入っています。1890年にボナールは「日本の版画展」を観て感銘を受けて以来、歌川国貞、国芳、広重の浮世絵を所有するほどの日本美術愛好家だったそうです。実際に、ボナールの絵は平面的で、装飾的な構成や格子柄の服の模様には日本美術の影響が色濃くみられます。浮世絵的と言っても良く、全く立体感がないのが特徴です。オルセー美術館絵画部門統括学芸員のイザベル・カーン氏は「ボナールが日本の芸術家から手に入れたのは、複数の平面をひとつに集約する奥行きのない遠近法という表現であった」と解説されていました。
▼また、今回も音声ガイドを利用させていただきました。語りは神田沙也加さんでした。

オルセー美術館特別企画ピエール・ボナール展
http://bonnard2018.exhn.jp/
YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=rlfa44Ko5dY

 

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