てるちゃんのかお
2018年12月10日月曜日本棚
▼「てるちゃんのかお」。小学校の全校集会で校長先生が紹介していたという話を聞き、さっそく読んでみました。
▼この本は、藤井輝明さんがご自身の体験を基にした絵本です。てるちゃん(藤井さん)は、二歳で「海綿状血管腫」という病気を発症しました。血管の壁にできた良性腫瘍がブクブクと膨れ腫れあがってくる病気です。そのせいで、人とは異なる容貌となりました。しかし、癌のように転移し、死に至らしめる悪性腫瘍ではなく、人に感染することもない病気です。
▼しかし、てるちゃんは、小学校で「バケモノ!」といじめられます。この辺りは読んでいてとても辛くなります。しかし、てるちゃんのお母さんはすごいです(世のお母さんはみんなそうかもしれませんが)。てるちゃんと一緒に猛勉強して、二年生から違う私立小学校に転校します。そこでは一転してクラスメートたちが明るく、てるちゃんを迎え入れてくれます。それは先生が、予め、てるちゃんの病気のことをみんなにきちんと話しておいてくれたこともありますが、お母さんが、町内会を一軒一軒訪ね歩き、うつる病気ではないこと、そして「一緒に輝明を励ましてください」と言って回ったことが大きいと思います。なかなかできることではないと思います。
▼また、お母さんのてるちゃんへの愛情は溢れんばかりです。「てるちゃんは、てるちゃんなんだから。すきなこと、やりたいことをたくさんして、てるちゃんのいいところを、いっぱいのばしていくの。」読んでいて、本当に泣けてきました。低学年の子供たちは、校長先生の読み聞かせを聞いて今はわからなくても、いつかきっと理解できる日がくることを信じてやみません。