笠松刑務所を見学して考えた
2018年12月5日水曜日活動記録
▼笠松刑務所(収容定員520人)を見学させていただきました。ここは、日本に5か所ある女子刑務所のひとつで、現在380人が収容されています。職員数は157人(平均年齢37歳)です。面積はナゴヤドームの約3分の一程度なのであまり広くはありません。刑務所の正門まで歩いていくと、3メートルはあろうかという高い塀があります。塀の向こう側からは、体を動かす時間なのか、賑やかな笑い声などが聞こえてきました。街なかにあり、実際に中に入って施設内から外を見ると、すぐ近くに民家が見えます。
▼笠松刑務所は、官民共同体制で、つまり「公共サービス改革法(公サ法)(平成18年法律第51号)」による刑事施設の運営を行っている刑務所です。公サ法は、官民競争入札・民間競争入札(いわゆる市場化テスト)を活用し、公共サービスの実施について、民間事業者の創意工夫を活用することにより、より良質かつ低廉な公共サービスの提供を実現することを目的としたものですが、ここでは実際には、総務・警備業務の一部や受刑者に対して行われる職業訓練や教育プログラムなどの一部業務について、民間事業者のノウハウを活用しているとのことです。
▼また、ここではいわゆる初犯と累犯の受刑者が一緒に収容されています(男の場合は、初犯と累犯では別々の刑務所に入るそうです)。受刑者の最高年齢は87歳、最低年齢は22歳です。罪名は、覚せい剤45%、窃盗27%、殺人8%だそうです。ちなみに平均刑期は3年4か月ですが、12人の無期懲役受刑者もいます。受刑者の一日は、6時30分起床、昼間は施設内の工場で刑務作業をし、21時に就寝といった規則正しいものです。作業服やパジャマは民間事業者が提案したものとのことで、中学生の体操服に似た感じのものでした。また、居室は5人ぐらいの相部屋でカギは無く、自分でドアを開けてトイレに行く仕組みでした。余談ですが、工場内を見学させていただきましたが、受刑者はもくもくと一生懸命に作業をしていました。また、いろんな資格取得のために勉強している受刑者もいるとお聞きしました。
▼施設の紹介映像を見せていただきました。最後に“Never to come back”というキャッチフレーズが流れました。私は、最初に聞こえてきた塀の向こう側の賑やかな笑い声についてを質問させていただきましたが、必ずしも受刑者である彼女らの未来は笑い声とは裏腹に決して楽観できるものではなく、出所した後の「居場所」や「働き場所」が問題なのだそうです。罪を犯したことにより、家族や友人らと疎遠になる受刑者も少なくないようです。国は、「再犯防止推進法(平成28年法律第104号)」で元受刑者らが雇用されやすい環境の整備や、地域における再犯防止対策の支援、元受刑者らを受け入れる「協力事業主」や保護司ら民間の協力者の確保などの取り組みを盛り込んだ計画を定めました。犯罪がないまちづくりが第一ですが、支援策や協力体制などについて考えなければならないと思いました。
▼お忙しいなか、ご案内ご説明いただきました所長様ほか刑務官のみなさま、本当にありがとうございました。