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所有者不明土地問題

2018年11月27日火曜日まちのこと

「所有者不明土地問題を考えるシンポジウム」(11/26岐阜市メディアコスモス)に参加しました。土地の所有権不明問題は、人口減や高齢化による土地需要の低下などを背景に全国で深刻化しています。
▼いわゆる“所有者の所在の把握が難しい土地”とは、「不動産登記簿の所有者台帳により、所有者が直ちに判明しない、または所有者に連絡がつかない土地」をいいます。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの阿部剛志主任研究員は、所有者不明土地問題深刻化の背景にあるものとして次の要因があると解説されました。(矢印以下は私の所感です。)
①高度経済成長を経て、「土地と人」の関係が広域化
⇒原因としては、農村から都市への人口移動や、相続によって土地所有権が都市や遠方に移転したことがあげられます。たとえ、所有者を特定できたとしても、転出先・転居先が追えず、しょの所在が不明であることが多々あります。
②相続形態が変わり、「土地と人」の関係が複雑化
⇒戦前の家督相続では、実質的に地域や家単位で所有・管理がされていたものが、未・離婚率上昇で相続の複雑化に拍車をかけているとのことです。たとえ相続人を特定できたとしても、相続人が多数になっていることも良くある話です。
③土地の価値下落により、「土地と人」の関係が希薄化
⇒土地所有の経済メリットと保有コストのバランス悪化により、相続登記がされないままになっている土地が増えています。簡単に言うと、持ち主が「所有に熱意を失っている」ということでしょうか。
▼大垣市には、どのくらいの所有者不明土地があるのかは知りませんが、市議会(平成30年第3回定例会)において、空き家庁舎についての報告がなされています。大垣市内には建物数が51,958棟あり、そのうち空き家が2,304、空き家率は4.4%とのことです。この2,304には、“棟”という単位がついておりませんので、おそらくアパートの空き部屋なども入っているものと考えられます。空き家率の報道等に用いられている統計においては、対象を住宅に限定し、一部が空き室の場合も含め、単に居住のない住戸を「空き家」としています。たとえば、9部屋あるアパートの9部屋ともが空き室であれば、法的には当然この建物は「空き家」、統計的には「空き家(9戸)」となります。また、9部屋のうち3部屋だけが空き室であれば、法的にはこの建物は空き家ではありませんが、統計t期には「空き家(3戸)」となるからです。
▼いずれにしても、空き家問題は少子高齢化社会で起こりうべくして起こった問題であり、おそらく今までの考え方に沿ったルールでは解決は相当難しいと思います。不動産所有権に対する考え方を変えなければならない時期に来ているのかもしれませんね。

【補足】空き家の定義
「空家等対策の推進に関する特別措置法」は2014年11月27日公布、翌2月26日に施行されました。国土交通省では1年以上住んでいない、または使われていない家を「空き家」と定義しています。その判断基準として、人の出入りの有無や、電気、ガス、水道の使用状況ないしそれらが使用可能な状況にあるか、物件の登記記録や所有者の住民票の内容、物件が適切に管理されているか、所有者の利用実績などがあげられます。さらに空き家のうち、そのまま放置すれば倒壊等の危険性があるもの、衛生上有害となりうるもの、景観を損なっているもの、放置することが不適切である状態のものは、「特定空き家」に該当します。


 

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