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ニューヨーク市における都市計画

2018年11月17日土曜日まちのこと

▼Winston Von Engel氏(ニューヨーク市都市計画局ブルックリン事務所長)による「City planning NYC and NYC development strategies(ニューヨーク市における都市計画と再開発戦略)」と題した講演を聴講しました。
▼ニューヨーク市におけるダウンゾーニング(日本でいう用途地域)についての講義でした。現在、ニューヨークにおける一番の問題は「住宅問題」で、人口が800万人を超え、市として低コストな住宅を提供することが難しくなってきているとのことです。
▼アメリカでは、1961年に「ゾーニング法」という法律ができ、それまでは土地の利用についてまったく規制がなく、建物の高さなど所有者の思いのままに建てることができたそうです。しかし現在では、市ごとに独自のゾーニングを持っており、ニューヨーク市では、住居系の用途だけでも30種類以上、これに商業系、工業系などを含めると全部で150種類ぐらいの用途地域があるそうです。
▼なお、アメリカの場合、市がゾーニングの権限を持っており、日本のように市町村がゾーニングの変更について県や国と協議したりするようなことはありません。全部ニューヨーク市単独で決定できるそうです。
▼また、ゾーニングの変更手続きについては、コミュニティ委員会(日本でいうところの自治会組織)を通して行うとのことです。委員会の存在はニューヨークの都市計画において欠かせない存在になっているとのことでした。日本における市と自治会とのかかわりについても考えさせられました。
▼最後に、ロバート・モーゼスというニューヨーク市の公共事業を担っていた人物についての紹介もありました。モータリゼーションを予見し、市内と郊外を接続する自動車道を行楽地とセットで開発。「パークウェイ」と命名し、道路行政でなく、公園行政とした実績があります。話を聞いていて、大正時代に東京の都市計画をした後藤新平(元東京市長)のことを思い出しながら、あらためて100年先の人たちに評価してもらえるまちづくりや施策をしなければならないと思いました。

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